ネットショップは、初心者でも手軽に始められるプラットフォームです。開業のハードルが高くないことから個人の方にも人気があります。
しかし、何から始めたら良いのかが分からない、どのサービスを選べば良いか迷っているという方も多いのではないでしょうか。本記事では、ネットショップ開業のメリット・デメリットやネットショップを開業する上での注意点などを詳しく解説します。
また、おすすめの個人向けネットショップ開業サービスも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- ネットショップ開業の基礎知識を身につけられる
- 自分に合ったネットショップサービスを探せる
- ネットショップを開業するためのヒントを得られる
ネットショップ開業のメリットとデメリット
個人の方がネットショップを始めるには、まずメリットとデメリットを把握しておくことが不可欠です。ここからは、4つのメリットと3つのデメリットを説明します。
ネットショップ開業のメリット
- 低コストで始められる
- 時間や場所にとらわれない
- 幅広い顧客層にアプローチできる
- データ分析による販売戦略を立てられる
ネットショップは実店舗を持つよりも初期費用を抑えることができ、24時間365日販売可能です。地理的な制約もなく、日本国内はもちろん海外にも展開ができます。
リスクを抑えつつ低コストで始められるのは、大きなメリットでしょう。
さらに、データ分析機能を活用することで、顧客の購買データなどを分析し販売戦略に役立てることができます。
ネットショップ開業のデメリット
- 競争が激しく差別化が必要
- 運営の手間がかかる
- 集客対策が必要
競争が激しいジャンルでは多くの競合他社が存在するため、差別化が必要です。また、顧客が24時間365日いつでも問い合わせ・購入ができる環境なので、迅速な対応が求められることもあります。
商品の在庫管理や発送業務などの手間も考慮しなければなりません。単にネットショップを開業しただけでは集客できないため、効果的な集客戦略を立てることも不可欠です。
ネットショップの種類
ネットショップを開業するには、独自で一から作り上げる必要はありません。ネットショップ開業サービスを利用することで、開業までの手間や時間を大幅に軽減できます。
ネットショップ開業サービスには、以下の2種類があります。
- ECモール
- 自社ネットショップ(ASP)
ECモールは大手プラットフォームに店舗を構える形態で、楽天市場やYahooショッピングなどが代表例です。自社ネットショップは、ASP(Application Service Provider)を利用して独自のウェブサイトを構築するもので、BASEやShopifyなどが代表的です。
ECモールの特徴
ECモールに出店する最大のメリットは、高い集客力です。モール自体のブランド力や知名度により、多くのユーザーが訪れるため、個人や中小規模の店舗でも商品を見つけてもらいやすくなります。さらに、モールが提供する出店システムや管理ツールを活用すれば、専門的な知識がなくてもネットショップを始めやすい点も魅力です。
一方で、費用面の負担が大きいというデメリットもあります。出店料や販売手数料に加えて、オプションサービスや広告費などがかかるケースもあり、利益を圧迫する可能性があります。また、多くの店舗が同じモール内で販売しているため、価格やサービス面での競争が激しくなる傾向があります。
さらに、モール独自のルールに従う必要があるため、自社サイトに比べると自由度はやや制限されます。
自社ネットショップ(ASP)の特徴
自社ネットショップ(ASP)を活用した販売では、自由な設計ができる点が大きなメリットです。デザインや機能を柔軟にカスタマイズできるため、独自のブランドイメージをしっかりと表現できます。また、取得した顧客データを自社で管理できるため、リピーター施策やメルマガ配信など、マーケティング施策を自社で展開しやすいのも特長です。
一方で、集客は自分で行う必要があるため、SNS運用や広告、SEOなどの施策を継続して行うスキルが求められます。
ECモールのように「最初から人が集まる環境」ではないため、マーケティングの知識が重要な鍵になります。
さらに、ASPサービスの月額利用料や決済手数料など、一定の運営コストが発生する点も考慮しておきましょう。
個人向けおすすめネットショップ開業サービス10選
現在、ECモールや自社ネットショップ(ASP)など、ネットショップを開業できるサービスは非常に多くあります。
それぞれに特徴があり、目的やスキルに合わせて選ぶことが重要です。
どのサービスを使うべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
BASE(ベイス)
80種類以上の無料テンプレートがあり、コンテンツを配置するだけでショップページが完成する手軽さが特徴です。HTML・CSSの編集による高度なデザインも対応できます。
予約販売や抽選販売、Instagramとの連携販売など多彩な販売機能を備えており、TikTok連携ツールによる広告出稿も可能です。
プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | 決済手数料 | サービス手数料 |
---|---|---|---|---|
スタンダードプラン | 無料 | 無料 | 3.6% + 40円(クレジットカード決済) 4.6% + 40円(Amazon Pay、PayPal) | 3% |
グロースプラン | 16,580円(*) | 2.9%(クレジットカード決済) 3.9%(Amazon Pay、PayPal) | 0円 |
STORES(ストアーズ)
手数料が比較的低く設定されており、コストパフォーマンスに優れています。48種類の無料テンプレートから直感的にデザインできるだけでなく、拡張機能による導入もスムーズです。
メールマガジンやクーポンなどのプロモーションツールも完備しています。google連携集客ツールやInstagramとの連携販売、会計ソフトの連携など、マーケティングと運営に役立つ機能が豊富です。
プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | 決済手数料 |
---|---|---|---|
フリープラン | 無料 | 0円 | 5% |
スタンダードプラン | 2,980円 | 3.6% |
メルカリshops
国内最大のフリマアプリ「メルカリ」内で店舗を持つサービスです。2,300万人以上のユーザーにリーチできるため、集客力が非常に高いのが特徴です。
ECモール型の特性から、デザインの自由度は他のプラットフォームと比べて低いですが、商品写真を工夫することで自店舗の個性を表現することができます。在庫管理機能や配送サービスに役立つ機能が用意されています。
プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 |
---|---|---|---|
フリープラン | 0円 | 0円 | 10% |
*2024年時点
カラーミーショップ
初心者でも簡単に、基本機能を備えたネットショップを構築できるプラットフォームです。スマートフォン・タブレット・パソコンの各デバイスに対応しています。
アクセス解析や独自ドメインの設定、WorPressの導入などの利用が可能ですが、InstagramショッピングやAmazon連携はオプションです。
プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 決済手数料 |
---|---|---|---|---|
フリープラン | 0円 | 0円 | 0円 | 6.6% + 30円 Amazon Payは6.5%+30円 |
レギュラープラン | 3,300円 | 4,950円 | 3.4%~ | |
ラージプラン | 9,595円 | 3.19%~ | ||
プレミアムプラン | 22,000円 | 39,600円 | 2.99%~ |
Shopify(ショッピファイ)
グローバルなECプラットフォームで、多言語と多通貨に対応しています。4つのどのプランを利用しても商品登録数は無制限です。SEO対策ツールや60種類以上のレポートに対応した分析ツールなど、多様な機能を利用できます。
公式テーマストアからテーマを選択できるほか、自分で作成することも可能です。
プラン名 | 初期費用 | 月額費用(*1) | カード手数料 |
---|---|---|---|
Basic | 0円 | 約3,650円 | 3.55%~ |
Shopify | 約10,100円 | 3.40%~ | |
Advanced | 約44,000円 | 3.25%~ | |
Plus | 2,300ドル(*2) | 個別見積もり |
MakeShop(メイクショップ)
配送方法の登録数が豊富で、プレミアムプランでは15種類、エンタープライズプランでは50種類に対応しています。販売チャネルはYahoo!ショッピング、Amazon、SNS、海外販売・越境ECを利用可能です。一般的な質問からデザイン・運営のサポート、ECアドバイスまで、強力なサポート体制が整っています。
手数料は高めですが、初心者でも安心して利用できるプラットフォームです。
プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 決済手数料 |
---|---|---|---|---|
プレミアムプラン | 11,000円 | 12,100円 | 0円 | 3.19%~ |
エンタープライズプラン | 110,000円~ | 55,000円~ | 3.14%~ |
easy my shop(イージーマイショップ)
カスタマイズ性の高さと柔軟な販売機能が魅力のネットショップ作成サービスです。有料プランでは、オーダーメイド商品・セット販売・先行予約・取り寄せ受付など、多様な販売スタイルに対応しています。
Yahoo!ショッピングやGoogleショッピングとの連携はオプションとなっていますが、拡張性が高く幅広い販路展開も可能です。商品登録数は無制限で、在庫数が多くなっても安心です。ただし、商品画像の容量には制限があるため、大量の画像を使いたい場合は注意が必要です。
プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 |
---|---|---|---|
無料版 | 0円 | 0円 | 0円(決済手数料は発生) |
スタンダード | 3,300円 | 3,980円(1年契約) 4,230円(3~11ヶ月契約) | |
プロフェッショナル | 8,700円(1年契約) 9,670円(3~11ヶ月契約) |
Amazon(アマゾン)
世界最大規模のオンラインマーケットプレイスで、国内外の膨大なユーザーにアプローチできる点が最大の魅力です。海外展開も視野に入れている方や、幅広いジャンルの商品を販売したい方におすすめです。
出品プランは「小口出品」と「大口出品」の2種類があり、販売数や運用スタイルに合わせて選ぶことができます。
小口出品プランでは、月49点までの商品を販売でき、初期費用を抑えてスタートできます。ただし、広告機能や一括管理ツールなどは使えません。
一方、大口出品プランでは、月50点以上の販売を想定しており、広告ツールや注文レポート、一括出品、無料配送を含むプロモーションなど、より本格的な運用が可能です。
プラン名 | 初期費用 | 出品料(1商品) | 販売手数料(商品カテゴリー別) |
---|---|---|---|
小口出品 | 0円 | 0円 | 5%~15% |
大口出品 | 4,900円 |
楽天市場
日本最大級のECモールで、国内での強力な集客力が特徴です。出店者には専任のECコンサルタントが付き、運営管理やマーケティングをサポートします。運営ノウハウを学べるプラットフォームを提供している点もメリットでしょう。
ショップページのカスタマイズには制限があり、自社ブランドの個性を十分に表現できない場合があります。
プラン名 | 初期費用 | 月額出展料 | システムサービス利用料 | 楽天ペイ利用料 |
---|---|---|---|---|
がんばれ!プラン | 60,000円 | 25,000円 | 売上高に応じて3.5%~7.0% | 月間決算高の2.5~3.5% |
スタンダードプラン | 65,000円 | 売上高に応じて2.0%~4.5% | ||
メガショッププラン | 130,000円 |
Yahoo!ショッピング
購入者へのYahooポイント付与によるリピート購入の促進と、集客力の向上が見込めます。初期費用や月額システム利用料が無料で、売上に応じた手数料が発生する仕組みのため、他のECモールと比べて出店のハードルが高くないのが特徴です。
クーポン発行やポイント倍率を設定でき、戦略に合わせたプロモーションも図れます。
初期費用 | 月額システム利用料 | 売上ロイヤルティ | ストア決済サービス手数料 |
---|---|---|---|
無料 | 無料 | 無料 | 決済金額の3.24%(クレジットカード決済) 決済金額の3.0%(PayPay)など |
無料・有料ネットショップサービスの違い
ネットショップ開業サービスには、無料で始められるものと、有料プランが必要なものがあります。それぞれにメリットと注意点があるため、自分の目的や運用スタイルに応じて選ぶことが大切です。
無料サービスは、初期費用をかけずにネットショップを始めたい方におすすめです。リスクを抑えて手軽にスタートできる反面、容量や機能に制限があるケースが多く、商品画像の容量制限や、販売手数料が高めに設定されていることもあります。たとえ商品登録数が「無制限」と記載されていても、容量上限によって実質的な制限が発生することがある点には注意が必要です。
一方で、有料サービスは多機能かつカスタマイズ性が高く、ブランドイメージの構築や販促施策の実行がしやすいというメリットがあります。初期費用や月額料金はかかりますが、容量に余裕があり、販売手数料が低めに設定されている場合が多いため、長期的にはコストパフォーマンスに優れることもあります。
【こんな方におすすめ】
- 無料ネットショップサービス:できるだけコストをかけずに、まずはネットショップを試してみたい方
- 有料ネットショップサービス:ブランディングや機能面を重視し、継続的にショップを成長させたい方
ネットショップ開業サービスの選び方
ネットショップを開業する際は、数あるサービスの中から自分に合ったものを選ぶことが重要です。
以下の4つのポイントを基準に比較検討することで、自分に最適なサービスが見つかりやすくなります。
① 費用(初期費用・月額費用・販売手数料)
はじめから高額な初期投資をするのはリスクが大きいため、コストを抑えて始められるプランを選ぶのがおすすめです。長期的な収支も意識して、ランニングコストを比較しましょう。
② 機能・操作性(必要な機能の有無、カスタマイズ性)
商品登録や受注管理が複雑すぎると、日々の業務に負担がかかります。とくに初心者の方は、操作しやすく、最低限の機能が揃っているかどうかを重視しましょう。将来的な成長を見据えて、カスタマイズの自由度もチェックしておくと安心です。
③ サポート体制(サポートの質・対応スピード・コミュニティの有無)
トラブルや不明点があったときに、すぐに相談できる体制が整っているかは非常に重要です。チャット・電話・メール対応の有無や、ユーザー同士の相談ができるコミュニティの存在も確認しておきましょう。
④ 集客力(ECモールか自社ショップか)
集客力の高さを重視するなら、Amazonや楽天などのECモール型がおすすめです。一方、ブランドづくりや自由なデザインを重視したい場合は、自社ネットショップ(ASP型)のほうが向いています。
これらのポイントを参考に、自分のビジネススタイルや予算、販売戦略に合ったサービスを選びましょう。
ネットショップ開業前の注意点
ネットショップでは、販売商品によって免許や許可が必要です。
以下に主な業種と必要な免許を紹介します。
業種 | 免許・許可 | 説明 |
---|---|---|
中古品販売 | 古物商許可 | 中古品の売買をする場合に必要。警察署で取得。 |
食品販売 | 食品衛生責任者資格 | 食品衛生法に基づく営業者は、食品衛生責任者を選任し保健所に届け出が必要。 |
食品衛生法に基づく営業許可 | 食品の加工・販売時に必要な許可で、保健所で取得。 | |
酒類販売 | 通信販売酒類小売業免許 | 酒類を販売する際に必要。税務署で取得。 |
一般酒類小売業免許 | 実店舗でこの免許を取得済みの場合は、同住所であればネットショップ販売が可能。 | |
化粧品販売 | 化粧品製造販売業許可 | 製造済みの化粧品を販売する際に必要。 |
医薬品・医療機器販売 | 製造販売業許可 | 医薬品や医療機器の販売に必要。 |
輸入品販売 | 関税手続き | 輸入品販売時に必要。 |
これらの許可や資格は販売商品の種類によって異なるため、事前に確認し必要な手続きを行う必要があります。
自分に合ったネットショップ開業サービスを選ぼう
ネットショップは、初期投資を抑えながら始められるため、個人でも参入しやすいのが大きな魅力です。ECモールは集客力に優れる一方でコストがかかりやすく、自社ネットショップは自由度が高い反面、集客や運営に工夫が必要です。
それぞれのサービスには、費用・機能・操作性・サポート体制・集客力などに違いがあり、目的や運営スタイルに応じた選択が重要です。自分にとって最適なサービスを見極めて、ネットショップ運営をスムーズに進めましょう。