ECサイトとは?これから始めるECサイトの運営ステップやメリット・デメリット

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市場のニーズが激変するにつれて、ECサイトの成長は著しく伸びています。EC事業に参入したくても、どのようにすれば成功できるのか不安になる事業者は多いものでしょう。

自社でECサイトを運営するには専門スキルが必要であり、モール型だと商品のオリジナリティをアピールするのが難しくなります。まずはECサイトの特徴やメリット・デメリットをしっかり把握しなければなりません。そこで、ECサイトの運営に必要なステップや機能を解説していきます。

もくじ

ECサイトとは

ECサイトとは、インターネット上で商品やサービスを提供するWebサイトの総称です。店舗販売と違って場所を必要とせず、基本的に24時間365日利用できるので、多くの利用者を見込めます。

新型コロナウイルスの影響でECサイトの利便性が改めて注目され、世界中で展開されているビジネスといえるでしょう。

当然ながらネット環境が必要であり、自社Webサイトのみでなく、スマホアプリによる注文や決済などユーザーにとって簡単に利用できる仕組みが求められます。

ECサイトでは大企業や中小企業に関わらず、多くの企業が参入しやすく、新たなビジネスチャンスを構築できるメリットもあります。

ユーザーからすれば、商品の検索から選定、注文、決済、納品までをオンラインで済ませるので、営業時間や交通機関に縛られず、自分のペースでショッピングを楽しめるのが魅力です。ECサイトは自社サイトで運営する自社ECと複数のショップが競合するモール型ECに大きく分かれ、どちらを選んでもメリットがあります。

成長を続けるECの市場規模

EC事業は世界中で広く展開されており、どの企業も注目している成長市場といえます。経済産業省が発表した「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、令和5年の国内BtoCでのEC市場は24.8兆円で前年比9.23%増となっており、国内BtoBでのEC市場も465.2兆円で前年比10.7%増と増加傾向にあることがわかりました。

EC化率も前年非0.25ポイントUPの9.38%となっているので、国内EC事業が大きく成長しているのがうかがえます。

このように実店舗だけでなく、ECサイトを運営していくのは今後も収益を見込む上で欠かせない成長分野となっていくでしょう。

※参考:経済産業省「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」

ECサイトの種類と特徴

ECサイトには大きく分けて「店舗型」と「モール型」の2種類があり、グローバル展開する「越境型」も含めると3種類のタイプが存在しています。

それぞれの特徴を把握して自社に沿ったスタイルを選択するようにしましょう。

店舗型

自社サイトにWebショッピングサイトを設けるのが店舗型で自社ECともいいます。店舗型の特徴は完全オリジナルでサイトを構築できる点であり、後述するモール型と違って出店手数料がなく、あらゆる制限がありません。

企業独自のブランディングがしやすく、オリジナリティに富んだサイトでインパクトを残しやすくなります。ただ、自由度が高い反面、自社で企画や運営・管理をすべて行うため、ECサイトに精通した社員の育成が必要となります。

ショッピングモール型

ショッピングモール型は、インターネット上にあるショッピングモールに出店することを指しています。国内でも人気のAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングが有名で利用者も多いものです。

ショッピングモール型はすでに知名度が高く、すでに全国から多くの顧客を抱えており、一定の集客を見込めるのがメリットであり、サイト構築もパッケージとなっているので一から作る必要がないのは労力の面でもプラスといえます。顧客データを自由に保有できない点や出店料を支払わないといけないデメリットはあるものの、初めてECサイトを導入する事業者にはメリットが多く見込めます。

越境型

海外の顧客に向けて商品を販売するECサイトを越境型といいます。新たな需要を見込めるメリットがあり、今後も成長が期待できるものです。

海外の顧客を扱うので、その国の法律やビジネスマナーを理解しなければなりませんし、輸送にかかるコストが高くなってしまうデメリットもあり得ます。

ECサイトを活用するメリット

ECサイトを活用すると自由な販売方法でコストを抑えられるメリットがあります。メリットとなる点を把握して収益に結びつけられるようにしましょう。

時間や場所にとらわれない自由な販売方法

ECサイトは実店舗と違って営業時間に制限がありません。実店舗でも24時間年中無休の場合があるものの、猛暑や大雨、大雪といった天候・気候に左右されず、交通手段もかからないのでいつでもどこでもショッピングできるのがユーザーにとって魅力的です。

いってみれば自由な販売方法であり、スマホ一つで注文から決済まで可能なので利便性も高いものといえます。

実店舗では告知しづらいキャンペーンなどの施策も行いやすく、関連商品のおすすめ紹介も実施しやすいのは収益を上げやすいメリットといえるでしょう。

市場規模の拡大でグローバル展開も可能

先述した市場規模の拡大を受けて、ECサイトの利用者も増えており、スマホやSNSの活用を受けてこの状況は今後も期待できます。

越境型によってグローバル展開も可能ですし、自社商品やサービスも多くのユーザーに提供することができます。新たな購買層を取り込むチャンスにもなるので、ECサイトを活用するメリットは実店舗よりも大きいといえるでしょう。

運用コストを軽減

ECサイトは実店舗を持たずに店舗運営ができるので、運用コストを大幅に軽減できるのも魅力的です。

店舗を持たないので光熱費や人件費をカットできますし、家賃も発生しません。セキュリティ面ではECサイトもコストをかける必要があるものの、24時間営業の実店舗では監視カメラや防犯カメラ、スタッフの常駐が必要で、ECサイトのほうが余分なコストを抑えられます。

これらコスト削減はそのまま利益率に還元できるので、収益増加に期待が持てるようになります。ECサイトの構築費用はかかりますが、ランニングコストを抑えられるのは大きなメリットといえるでしょう。

注文しやすく消費者へ直接アクセス可能

ユーザーはECサイトへのアクセスは容易であり、インターネットが普及している昨今だと、老若男女問わず注文しやすい環境が整っているといえます。

検索することでニーズのある商品を選択できるだけでなく、関連商品のピックアップも可能です。

テレビCMや新聞広告といった広告費用を捻出せずにニーズに沿った必要な情報を消費者に届けられます。

注文から決済までをスマホ一つで行えるので煩わしい操作も不要であり、企業にとっても消費者に直接アクセス可能な点はブランディングの面でも有効といえるでしょう。

ECサイト運営のデメリット

ECサイトの運営はメリットばかりではありません。デメリットをしっかりと把握して自社商品に沿った運用をしていくのが大切といえます。

商品の魅力がすべてのユーザーにイメージ通り伝えられない

ECサイトでは商品を手に取って見定めることができないため、すべてのユーザーに魅力がイメージ通りに伝わらない可能性があります。

大きさや色合いなど、画像や商品説明だけでは店頭で実物を見るのと大きな違いがあるものです。

画像を決め手として購入したのにかかわらず、手元に届いてから「イメージと違った」「サイズが違う」という消費者も珍しくありません。

商品の返品や返金手続きに余分な対応をしなければならないのもデメリットといえます。商品によって返品不可としていることもあるでしょうが、そのようなケースではレビューに厳しい評価が付けられてしまいます。

きっちりと確認できていないユーザー側に問題があっても、CSの低下につながる恐れがあるものです。

Webスキルが高い人材の確保

ECサイトを運営していくには、自社のWebスキルが高い専門のスタッフが必要です。Webサイトの構築やWebマーケティングの施策など、コンテンツ制作に一定のスキルを有した人材の確保が求められます。

新たに育成するのは時間もかかってしまいますので、すべてを外注するとコストも増えてしまいます。

すぐに効果が見込めない

ECサイトの運営には長いスパンで費用対効果を考える必要があります。商品のブランド力が低い場合、ECサイトを開設しても訪問客がいきなり増えるとは限りません。

SNSなどコンテンツの配信やキャンペーンの実施を経て、長期間かけて集客を見込めるものです。すぐに費用対効果が見込めないのもデメリットといえます。

競合ショップが多い

ECサイトは大手企業から中小企業、スタートアップ企業など、非常に多くの企業が参入しています。自社ECだけでなく、ショッピングモール型にも多くのブランドがショップを開設しているものです。

競合ショップが多いので、市場規模が拡大されても自店舗の集客を高めるのは難しいといえます。

ショッピングモール型はECサイトの中でも集客が多く見込めるものの、モール内に自社商品と関連する競合ショップは多くあり、検索しても上位表示されるとは限りません。検索で認知してもらうにはSNSやSEO対策で他店と差異化を図る必要があります。

ECサイト運営を始めるステップ

ECサイト運営を始めるには、何から手をつけていいのか分からない事業者もいるでしょう。次にECサイト開設におけるステップを解説していきましょう。

市場調査と競合分析

まずは自社商品が実際にどれほどの需要が見込まれるのか市場調査を行います。市場調査をもとに競合分析を実施し、自社商品の優位性を見出していきます。

市場調査や競合分析が完了すれば、自社の強みと弱みが分かるようになり、今後の戦略立案を立てられるようになります。

市場調査や競合分析はしっかりとしたリサーチが必要となるので、ここをECコンサルタントに依頼して調査・分析をレポートしてもらうことも可能です。

商品とターゲット、コンセプト・目標の選定

商品とターゲットの選定を行い、コンセプトと目標を設定します。コンセプトや目標は長いスパンとなるECサイトの運用期間の中で、行き詰りそうになったときに振り返るときにも必要です。

どの層をターゲットにして、どのようなショップを展開していきたいのか、どの程度収益を見込めるのかというのは常に根底にあるようにしましょう。

コンセプトが定まっていないと、「結局何がしたいのか」「だれをターゲットにしているのか」というデザインが固まらず、ブランディングが定着せずにCSも向上しません。

ECサイトの構築

コンセプトやターゲットが定まると、実際にECサイトのデザインに着手します。自社ECサイトのように一から構築するパターンとショッピングモール型のようにパッケージになっているパターンがあります。

ECサイトの機能について

ECサイトを運営するには、円滑な販売や顧客対応を実現するためのさまざまな機能が必要です。適切な機能を備えることで、利便性が向上し、集客や売上の最大化につながります。

ここでは、ECサイトに欠かせない主要な機能について詳しく解説します。

商品登録

商品登録は画像をアップロードして説明文も掲載していきます。いわばユーザーが購入する決め手の機能といえるでしょう。

商品の説明文にも短すぎ長くならないように配慮し、キャッチコピーもユーザーを惹きつける要素となります。

梱包・出荷作業

商品の決済が完了すると、梱包・出荷作業に入ります。送り状や問い合わせ番号の発行といった自社倉庫からの出庫作業と連動させます。

物流業務を業務委託している企業も多いので、ユーザーには出荷予定や発送日、到着予定日を自動連絡する機能も取り入れておきましょう。

ショッピングカート・決済サービス

ECサイトの受注にはショッピングカートの管理画面が分かりやすい必要があります。かご落ちとならないように、サイトのデザインを見やすくしてカートに商品が取り残されたままにならないようにユーザーに周知させる機能を盛り込むのが重要です。

決済サービスでは、複数の選択肢を持つことでユーザーが使いやすい決済サービスを選択できるようになります。

ターゲットとなるユーザー層にも着目し、若年層に向けた商品の場合、クレジットカードよりもコンビニ払いのほうが支払いやすいといえるでしょう。

受注管理・在庫管理機能

商品を受注管理と在庫管理機能を作成します。実店舗と同じ在庫を扱う場合、店舗と連動する在庫システムを構築しなければなりません。

受注管理機能は商品の購入から入金確認、出荷までをトータルで管理する機能です。キャンセル対応も必要となります。これらの機能がスムーズに行えないと、ユーザーの不安が高まりますので、CSも低下してしまう恐れがあります。

問い合わせ対応

問い合わせ対応は専用のフォームやメールフォームを作成し、ユーザーの悩みに迅速な対応ができるようにしていきます。

問い合わせが満足にできないと、CSの低下にもつながり、ユーザー離れが生じてしまいます。

分析機能

分析機能はECサイト内での行動データを収集してページ離脱率やほかに興味を持った商品などを分析して管理します。Webマーケティングの施策にもつながり、ECサイトの改善にも役立ちます。

セキュリティ

商品の購入にはお届け先やクレジットカードを入力するものですが、これらは大切な個人情報であり、厳格な保護が必要です。SSL(暗号化通信)や3Dセキュアに対応した機能を導入するようにして、ユーザーが安心して利用できる環境を構築しましょう。

顧客管理、集客機能

安定したECサイトの運営にはリピーターの確保が重要です。会員登録や定期購入、ポイント付与など、メルマガなどを配信してユーザーとつながりを継続する顧客管理機能は必須です。

また、SNSとの連携やクーポン、キャンペーンなどの集客・販促機能を備えると、再来店意欲を高める施策につなげられます。

スマートフォンアプリ

自社ECサイトではスムーズな販売を行うため、スマホアプリの開発も同時に行い、連動させていくことも大切です。アプリはユーザーを囲いやすく、クーポンの発行やプッシュ機能でユーザーとコミュニケーションを図りやすくなります。

モール型はパッケージになっている

ショッピングモール型のECサイトではこれらの機能がパッケージになっていることが多く、加入してからすぐに出店できるメリットがあります。

ただ、出店手数料やロイヤリティ、メルマガ配信料など、運営側に支払うコストもかかってしまいます。

ECサイト運営のポイントと成功へのステップ

ECサイトはインターネット上でショップを運営するビジネスモデルであり、今後も市場規模の拡大が期待されています。

国内では自社ECとショッピングモール型ECが主流で、実店舗と異なり、自由な販売戦略が取れることやコスト削減といったメリットがあります。

一方で、デメリットや運営上の課題も理解しておくことが重要です。今回紹介したECサイトの運用ステップを参考に、長期的な視点で安定した収益の確保を目指しましょう。

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