JANコード取得ガイド|必要な場面・登録機関・注意点まで完全解説

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ECサイトや小売店に商品を出品・流通させる際に欠かせないのが、JANコードです。

JANコードは商品を識別する国際規格のバーコードで、在庫管理やPOSシステムとの連携、さらにはAmazon・楽天市場など大手ECモールへの出品にも必須となります。

しかし「どこで取得できるのか?」「費用や手続きは?」と疑問を抱く方も少なくありません。

本記事では、JANコードの基本から取得手順、活用メリット、注意点までわかりやすく解説します。

もくじ

JANコードとは?取得が必要な理由

JANコードとは、日本国内で広く利用される商品識別用のバーコード規格です。

POSレジや流通システムで商品を正確に管理するために不可欠であり、EC出品や小売流通を行う企業・個人にとって取得が必須となるケースが増えています。

JANコードの役割と仕組み

JANコードは、商品を一意に識別するための番号と、それを視覚的に読み取れるバーコードで構成されています。

通常は13桁(標準タイプ)または8桁(短縮タイプ)で表記され、最初の数桁は事業者コード、中間の桁は商品アイテムコード、最後の1桁はチェックデジットとして構成されています。

この仕組みによって、世界中のPOSレジや在庫管理システムで統一的に商品を読み取れるのです。

JANコードはGS1 Japanが管理しており、正規の登録を経ることで、商品が正しく市場で認識されます。

これにより誤出品や商品混同を防ぎ、信頼性の高い流通を可能にする重要な役割を担っています。

JANコードが必要になる具体的なケース

JANコードは、商品を広く流通させたい場合に必要です。

例えば、Amazonや楽天市場など大手ECモールではJANコードの登録が必須条件とされており、これがなければ出品自体ができないケースがあります。

また、大手スーパーやコンビニなど小売流通に商品を置く場合も、POSレジでのスキャンや在庫管理にJANコードが使われるため、導入は不可欠です。

さらに、卸売業者や物流倉庫との取引においてもJANコードは標準規格として用いられており、取引をスムーズに進めるためには取得が前提条件となります。

個人事業主や小規模メーカーであっても、販路拡大を目指すならJANコードは必ず必要になるといえるでしょう。

JANコードを取得しない場合のリスク

JANコードを取得しない場合、まず大きなリスクとなるのは販路の制限です。

大手ECモールや量販店に出品できず、販路が自社サイトや一部の小規模マーケットに限定されてしまいます。

また、在庫管理や売上分析にバーコードが活用できないため、業務効率が著しく低下します。

さらに、JANコードがない商品は市場で正規品として認識されにくく、模倣品や不正流通と誤解される可能性もあるでしょう。

加えて、後から取得しようとすると商品情報の修正や登録手続きが必要になり、余計なコストや時間がかかるケースも少なくありません。

信頼性の確保と市場参入のスムーズさを考えれば、早めに取得しておくことが重要です。

JANコードを取得して活用するまでの4ステップ

JANコードの取得は一度登録すれば終わりではなく、正しい手順を踏むことで初めて活用できます。

ここでは、GS1事業者コードの申請から商品への表示、さらに継続的な管理までの流れを4つのステップで解説します。

JANコードを取得して活用するまでの4ステップ

JANコードの取得は一度登録すれば終わりではなく、正しい手順を踏むことで初めて活用できます。

ここでは、GS1事業者コードの申請から商品への表示、さらに継続的な管理までの流れを4つのステップで解説します。

GS1事業者コードを取得する

最初のステップは、JANコードを発行するために必須となるGS1事業者コードの取得です。

これは、一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)に申請し、審査を経て付与されます。

GS1事業者コードは企業や個人事業主ごとに割り当てられる固有番号で、後に商品アイテムコードと組み合わせることでJANコードを作成します。

申請時には入会金や年会費が必要となりますが、このコードがなければ正規のJANコードを発行できません。

取得後は、自社商品を世界的な流通ネットワークで識別可能にできるため、信頼性のあるビジネス展開に欠かせない基盤となります。

アイテムコードを設定する

GS1事業者コードを取得したら、次は商品ごとにアイテムコードを設定します。

アイテムコードは、各商品を区別するための番号で、事業者が自由に割り当て可能です。

ただし、同じ商品に複数のコードを設定すると混乱の原因となるため、一意性を保つことが重要です。

例えば、サイズ違いやカラー違いの商品は、それぞれ別のアイテムコードを与える必要があります。

こうしてGS1事業者コードとアイテムコードを組み合わせることで、商品ごとに固有のJANコードが完成します。

これにより、販売や流通の現場で正確な商品識別が可能となり、在庫や販売管理の精度が格段に向上するのです。

JANシンボルを印刷・商品に表示する

完成したJANコードは、そのままでは利用できず、バーコードの形に変換して商品に表示する必要があります。

これを、JANシンボルと呼びます。

シンボルは専用のソフトウェアや印刷サービスを使って生成し、商品パッケージやラベルに印刷。

印刷の際は、規定のサイズや位置に従うことが求められ、読み取り機器で正しく認識できるようにすることが重要です。

表示を誤るとPOSレジでの読み取り不良や流通現場での混乱につながるため、注意が必要です。

正しく印刷・表示されたJANシンボルは、店舗での販売や物流において瞬時に商品を特定できる強力なツールとして機能します。

定期的に更新・管理を行う

JANコードは一度登録すれば永久に使えるわけではなく、定期的な更新・管理が必要です。

GS1事業者コードには年会費があり、これを継続して支払わなければ利用権を失ってしまいます。

また、新商品を追加する際には新たなアイテムコードを設定し、JANコードを発行する必要があります。

さらに、廃盤商品や仕様変更があった場合には、既存コードの管理を適切に行わなければ市場での混乱を招きかねません。

JANコードの正しい更新と管理を続けることで、流通や販売の効率を維持し、商品情報の信頼性を確保できます。

結果として、長期的なブランド価値の維持にもつながります。

JANコードを取得するメリット

JANコードを取得することで、商品販売の幅が大きく広がります。

大手ECサイトや小売店への出品はもちろん、在庫管理や販売管理の効率化、海外展開の基盤づくりにも役立ちます。

ここでは、5つの具体的なメリットを解説しますので参考にしてください。

大手ECサイトへの出品が可能

Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手ECサイトでは、出品する商品にJANコードが必須となる場合が多くあります。

これは、同一商品の重複登録を防ぎ、購入者に正確な情報を提供するためです。

JANコードを持つことで、自社商品を正規にECモールへ掲載でき、より多くの消費者にリーチすることが可能になります。

特にAmazonではJANコードなしの商品登録は制限がかかるため、販売チャンスを逃さないためにも取得は欠かせません。

JANコードを備えていることは、単なる出品条件を満たすだけでなく、商品検索性や信頼性の向上にも直結します。

大手小売店・流通に商品を載せられる

大手スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの小売チェーンでは、商品をPOSレジや物流システムで一元管理するためにJANコードが必須です。

JANコードがなければ、店舗の販売管理システムに商品を登録できず、取引自体が難しくなるケースも少なくありません。

特に全国規模で展開している小売店では、JANコードの有無が仕入れ判断に大きく影響します。

JANコードを取得していれば、自社商品を流通網にスムーズに乗せられ、大規模な市場へ参入するチャンスを広げられます。

流通の現場では商品識別の正確さが重要視されるため、JANコードの存在は必須条件と言えるでしょう。

在庫管理や販売管理が効率化できる

JANコードは単なる商品識別子ではなく、在庫管理や販売管理の効率化を支える基盤です。

商品ごとに固有のコードを付与することで、POSシステムや在庫管理ソフトと連携し、入出庫や販売データを自動的に記録できます。

その結果、在庫の過不足を防ぎ、適切な発注や棚卸しが可能になります。

また、販売データを活用することで売れ筋商品や季節ごとの需要を把握し、マーケティング戦略に役立てることも可能です。

従来の手作業での管理に比べ、人的ミスを減らし業務効率を飛躍的に向上させられるのが大きなメリットです。

JANコードは、効率的な経営判断を支える重要な仕組みといえます。

商品情報の信頼性向上

JANコードは、消費者や取引先にとって正しい商品情報が提供されていることを保証する役割も担います。

バーコードを通じて商品名や規格、価格などが正しく読み取れるため、店舗やECサイトでの誤表記や混乱を防げます。

また、JANコードを保有している商品は、公的機関であるGS1 Japanを通じて発行されているため、正規品としての信頼性を高める効果があるのです。

これにより、消費者からの安心感を得られるとともに、取引先との商談や契約の場においても信用度が増します。

JANコードは単なる識別番号ではなく、ブランドの信頼性を裏付ける証明でもあるのです。

海外展開にも活用できる

JANコードは日本国内だけでなく、国際規格であるEANコードとして海外でも利用可能です。

つまり、JANコードを取得すれば、グローバル市場においても商品を識別でき、輸出や海外ECサイトでの販売にそのまま活用できます。

欧米やアジアの主要な小売店やECモールでは、JAN/EANコードが必須条件となることが多いため、海外進出を目指す企業にとって大きな武器となります。

また、海外の物流や通関業務でもJANコードがあることで手続きがスムーズになり、輸出業務の効率化につながるでしょう。

これにより、中小企業や個人事業主でも国際的な販路拡大が現実的に可能となります。

JANコードを取得する際の注意点

JANコードの取得には多くのメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。

費用や管理の手間、登録に関する制約を理解していないと、後々トラブルになる可能性もあります。

ここでは、主な注意点を整理して解説しますので参考にしてください。

費用がかかる

JANコードを取得するには発行機関であるGS1 Japanへの登録が必要であり、その際に初期費用と年会費が発生します。

初期費用は事業規模や登録区分によって異なり、数万円から十数万円かかるケースもあります。

また、登録後も毎年の更新費用がかかるため、継続的な負担がある点を考慮しなければなりません。

小規模事業者にとっては大きな出費と感じる場合もありますが、JANコードの取得は販路拡大に直結する投資でもあります。

そのため、取得を検討する際には費用対効果をしっかりと試算し、販売戦略全体の中で位置づけを明確にしておくことが重要です。

商品ごとに異なるコードが必要

JANコードは商品を一意に識別するための番号であるため、同じメーカーの商品でもサイズや色、容量など仕様が異なれば、それぞれに別のコードを取得する必要があります。

例えば、Tシャツであればサイズごと、色ごとに異なるJANコードを付与しなければならず、その数が多いほど管理も複雑になります。

コードの割り当てルールを明確にせず運用すると、後で重複や誤登録が発生しやすくなり、流通や販売に支障をきたす恐れも。

そのため、商品企画やラインナップの段階からJANコードの管理方針を定め、整理された形で運用することが非常に重要です。

情報更新が必要

JANコードは一度取得すれば終わりではなく、継続的な情報更新が求められます。

例えば、商品の仕様変更やリニューアル、パッケージデザインの変更があった場合、その情報を正しく反映させなければ、流通や販売先でのトラブルにつながります。

さらに、GS1 Japanへの登録情報も毎年更新が必要で、最新の企業情報を維持していないと無効になる可能性もあるのです。

特に多くの商品を扱う企業では、更新作業が煩雑になりがちです。

専用の管理システムや担当部署を設けて、情報の更新漏れを防ぐ体制を整えることが、円滑な流通と信頼性の確保につながります。

不正使用や重複登録に注意

JANコードは国際的に商品を識別する仕組みであるため、重複登録や不正使用が起こると深刻なトラブルにつながります。

例えば、異なる商品に同じJANコードを誤って付与した場合、POSシステムで正しく認識されず、販売記録や在庫管理に重大な混乱を引き起こします。

また、悪意のある第三者が既存のJANコードを不正に利用するケースもあり、ブランドの信頼性を損なう恐れがあるでしょう。

そのため、コードの割り当てと管理は慎重に行い、登録情報の整合性を常に確認することが重要です。

規模が大きい企業ほど、社内のガバナンス強化と監視体制の整備が不可欠です。

取得できるのはメーカー・ブランド所有者のみ

JANコードは誰でも自由に作れるものではなく、取得できるのは原則として商品を製造・販売するメーカーやブランドの所有者に限られます。

これは、商品を市場で一意に識別し、取引の信頼性を担保するためのルールです。

そのため、卸売業者や代理店が独自にJANコードを発行できません。

もし自社で商品を製造していない場合は、メーカーが発行したコードを利用する必要があります。

この点を理解せずに独自のコードを使おうとすると、流通システムに登録できなかったり、販売が拒否される可能性があります。

JANコードは、ブランドの公式な識別子であることを意識して取り扱う必要があるのです。

JANコード取得にかかる費用

JANコードの取得には、初期費用と年会費といった継続的なコストがかかります。

特に初めて申請する際には入会金や登録料が必要で、以降は毎年の会費を支払う必要があります。

JANコード登録にかかる費用は以下の通りです。

事業者の年間売上初期申請料登録管理費合計費用
5,000億円以上44,000円306,900円350,900円
1,000億円以上5,000億円未満44,000円276,100円320,100円
500億円以上1,000億円未満44,000円152,900円196,900円
100億円以上500億円未満44,000円92,400円136,400円
10億円以上100億円未満44,000円46,200円90,200円
1億円以上10億円以上22,000円20,900円42,900円
1億円未満11,000円16,500円27,500円
参照元:https://www.gs1jp.org/code/jan/jan_apply.html

ここではその費用の概要を整理して解説します。

初期費用(入会金・登録料)

JANコードを利用するためには、GS1 Japanへ加入する必要があり、その際に初期費用として入会金や登録料が発生します。

金額は企業の年間売上高によって変動し、中小企業であれば数万円程度から、大企業では数十万円規模になることもあります。

この初期費用は、事業者コードを割り当てるための基本的な登録コストであり、商品ごとのアイテムコードを発行する前提となる重要なステップです。

費用を準備するだけでなく、今後どれくらいの商品を展開するのか、またJANコードが販路拡大にどう寄与するのかを見極めることが大切です。

単なる登録料ではなく、流通網に商品を載せるための投資と考える視点が必要です。

年会費

JANコードを維持するためには、初期費用だけでなく毎年の年会費も必要です。

年会費も企業規模や売上高に応じて変動し、小規模事業者なら数万円、大企業では十数万円以上に及ぶケースもあります。

年会費は、GS1 Japanの会員としてコード体系を利用し続けるための利用料に相当し、支払いを怠るとコードの利用資格が失効する可能性があります。

長期的に事業を展開する企業にとっては、固定的な維持コストとして予算に組み込む必要があるのです。

逆に言えば、毎年の会費を支払うことで、流通業界全体で認知される国際標準のコードを継続して利用できる安心感を得られるというメリットがあります。

JANコード取得を代行してくれるサービスもある

JANコードはGS1 Japanを通じて自分で申請するのが基本ですが、手続きに不安がある場合や時間を効率化したい事業者向けに、取得を代行してくれるサービスも存在します。

代行サービスを利用すれば、必要書類の準備や登録手続きを専門スタッフがサポートしてくれるため、申請の不備や記載ミスによるやり直しを避けやすくなります。

また、申請だけでなく運用や更新のフォローまで対応する業者もあり、初めての導入でも安心です。

ただし、代行手数料が追加で発生する点には注意が必要です。

費用とサポート体制を比較し、自社のリソースや目的に応じて選ぶと良いでしょう。

JANコード取得に関するよくある質問

JANコードの仕組みや取得方法は意外と複雑で、初めて申請する際に疑問を持つ方も多いです。

ここでは、JANコード取得に関するよくある質問に回答していきます。

JANコードは誰でも作れるの?

JANコードは誰でも自由に作成できるわけではなく、GS1 Japanに登録したメーカーやブランドの所有者だけが正式に取得できます。

インターネット上で自作のJANコードや無料のコード生成ツールも見かけますが、それらは正規の流通では利用できません。

大手ECサイトや小売店では正規のJANコードのみが認められているため、必ずGS1を通じて取得することが求められます。

JANコードは誰が設定するのですか?

JANコードは、商品を販売するメーカーやブランド所有者が責任を持って設定します。

具体的には、まずGS1事業者コードを取得し、その範囲内で商品ごとにアイテムコードを割り当てて登録します。

商品ごとに固有のコードを付与する必要があるため、外注業者や販売代理店ではなく、あくまで製造元やブランドの正規権限者が設定する仕組みです。

JANコードは個人や個人事業主でも申請できる?

法人だけでなく、個人事業主でもJANコードを申請することが可能です。

GS1 Japanに登録する際に、必要な書類(開業届や事業に関する証明書など)を提出すれば、規模の大小を問わず申請できます。

個人でオリジナル商品を販売したい方や小規模EC事業者でも、JANコードを取得しておくことで大手ECモールや小売店での商品流通がスムーズになり、販路拡大につながります。

JANコードの登録までの日数は?

JANコードの登録にかかる日数は、申請内容や時期によって異なりますが、通常は申請から2〜3週間程度で利用可能になります。

繁忙期や提出書類に不備がある場合は、さらに時間がかかることもあります。

そのため、新商品の発売や出品スケジュールが決まっている場合は、余裕を持って1か月以上前から手続きを始めるのが安心です。

スケジュール管理と、事前準備が円滑な導入のポイントです。

JANコード取得についてのまとめ

JANコードは、商品を正しく識別し流通させるために不可欠な仕組みであり、大手ECサイトや小売店への出品、在庫管理や販売分析の効率化、海外展開まで幅広く活用できます。

一方で、取得には費用や管理の手間がかかるため、正しい知識を持って計画的に運用することが重要です。

これからJANコードを申請する方は、GS1 Japanの公式情報を確認し、必要に応じて代行サービスや専門家のサポートを活用することで、スムーズに導入を進められるでしょう。

この記事を書いた人

ロジレス編集部

ロジレス編集部は、EC事業者・倉庫事業者さまに向けて業務改善や売上拡大のヒントをお届け。 システムの効果的な活用方法から業界ニュースまで、現場目線で情報を発信しています。

※掲載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性や最新性を保証するものではありません。内容が誤っている可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

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