最近、米国などの海外でTemuがネット販売サイトとして特に注目されています。
米国では、Z世代と呼ばれる若年層からはじまり、さらに高年齢の層まですでに幅広く使用されています。
国内でも楽天など既にいろいろなネット販売サイトがあるなかで、新興のグローバルECプラットフォームとして、Temuも徐々に影響力を拡大しています。
ただし、急速に拡大しているTemuをめぐっては、安全性・安さの秘密・プラットフォームの仕組みに関して、いくつかの疑問も存在します。本記事では、公開情報をもとに、Temuの特徴、安全対策、そして利用時の注意点について整理します。
本記事では、Temuが怪しいと思われる理由や、実際の安全性について詳しく解説します。
Temuの特徴とは
Temuは、消費者と第三者の販売業者、メーカー、ブランドをつなぐグローバルなオンラインマーケットプレイスです。Temuはボストンに本社を置き、ナスダック上場企業であるPDD Holdingsの傘下で運営されています。
米国で2022年にネットサービスを開始して以降、Z世代だけではなくベビーブーマー世代も取り込んで、アプリダウンロード数は急速に増加しています。今では、Temuは複数の海外市場に進出しており、2023年7月には日本でサービスを開始しました。2025年5月には、日本において各種企業向けに「国内販売者募集プログラム」を開放しました。また、Temuは日本や韓国を含む複数の市場で、「国内販売者募集プログラム」も導入しています。
Temuのビジネスモデルの特徴は、オンラインマーケットプレイスとして消費者と第三者の販売業者、メーカー、ブランドをつなぎ、サプライチェーンの最適化と中間マージンの削減を通じて、不必要な関連コストを抑えている点にあります。
Temuが怪しいと思われる理由
急成長を遂げるTemuですが、その一方で「Temuは怪しいのでは?」と言われることもあります。このように利用者が懸念を抱く理由はどこにあるのでしょうか。
結論、Temuは合法的な企業が運営するショッピングサイトであり、セキュリティ対策も講じられております。Temuの公開資料によると、同社はAPWGに加盟しており、MFA(多要素認証)を採用しています。また、DEKRAによるモバイルアプリのセキュリティ評価レポートを取得しているほか、公式サイト上ではPCI DSSやPurchase Protectionに関する情報も公開されています。
そんなTemuではありますが、懸念点もいくつか挙げられているので、下記で整理していきます。
セキュリティへの不安
セキュリティをめぐる議論の一部は、2023年にPDDホールディングス傘下の別アプリに対する外部の関心が高まったことに起因しており、これがTemuの安全性に関する市場での議論を促す要因にもなりました。一方でTemuは、アプリストアのデータ開示要件を遵守していることを公表しており、独立したセキュリティ評価の実施やフィッシング対策に関するパートナーシップの強化も継続しています。
Temuの公開説明によると、同プラットフォームはデータ収集において高い透明性を維持しており、Apple App StoreやGoogle Playなどのアプリマーケットにおけるデータ開示要件に準拠しています。
送料無料で安すぎる
皆さんもイメージがあるかと思いますが、Temuのアイテムがあまりにも安いため、逆に懸念を抱かれてしまったという背景もあります。
実は、Temuは顧客を世界水準のメーカーに直接つなぐことで、不要な中間マージンおよび関連コストを排除し、サプライチェーンの最適化を実現しています。また、Temuにおける大量注文により規模の経済が働き、より有利な配送費用や条件を確保することで、最終的に消費者コストの削減につながっています。
Temuでは、メーカーは従来の小売・卸売チャネルと比較して、中間工程を削減し、コスト構造を最適化しながら、新たな販売機会を拡大できるケースが多く見られます。これにより、一部のメーカーは研究開発やブランド構築により多くのリソースを投入する余地も生まれています。
こうした企業努力の結果、消費者も怪しいと感じてしまうほどの低価格が実現し、怪しいと疑われてしまいました。
アイテムが豊富すぎる
安いだけでなく、ファッション、日用品、美容関連品から電子機器や家電、家具に至るまで、取り扱っております。報道によると、現在Temuには600以上の商品カテゴリーが存在しています。選択肢の幅広さがある一方で、「模倣品」や「品質が期待に達しない」といった評価も一部で見られます。
一方で注目すべき点として、Temuは2026年1月30日に日本の消費者庁が主導する自主的取り組み「日本製品安全誓約」に署名し、プラットフォーム上の製品安全基準の強化に取り組んでいます。
また、Temuの公式サイトによると、同社は知的財産保護に特化したプログラム「BGI(Brand Guardian Initiative)」を展開しており、このプログラムはブランドの知的財産権保護を目的として2024年4月に開始されました。ブランドの知的財産情報をTemuの監視システムに集約することで、無許可で出品された侵害商品の迅速な検知が可能となっています。さらに、参加ブランドは個別サポートや定期的なインサイトレポートなど、各種支援サービスを受けることができます。
広告や初回キャンペーンが派手すぎた
皆さんも一度は見た記憶があるのではないかと思いますが、2023年に日本上陸後、SNS広告やインフルエンサーマーケティング、テレビCM(年末の特番など)など様々なチャネルで広告が展開されました。また、初回限定クーポンなどのお得感もそれまでに目を見ないほどのものであったため、逆に懸念感にもなってしまいました。
このような高頻度の広告や初回限定の割引施策は、短期間でブランド認知度を高める効果がある一方で、一部のユーザーに慎重な様子見の姿勢を取らせる要因にもなっています。
Temuサイト側の安全対策
これまでTemuが怪しいと思われてしまった懸念点を整理してきましたが、セキュリティに対する懸念は依然として払拭しきれていないかと思います。そこでTemuサイト側の安全対策について、下記にてより詳細に紹介します。
サイバー犯罪対策組織APWGへの加盟
2024年4月、Temuはサイバー犯罪対策組織APWGへ加盟しています。
APWG(Anti-Phishing Working Group)とは、2003年に設立された国際組織で、フィッシングやなりすましによる詐欺などのサイバー犯罪に立ち向かう団体です。APWGは定期的にサイバー犯罪についてのレポートを発表しており、2023年には世界で500万件以上ものフィッシング詐欺を認めたと報告しています。
国際的なセキュリティ基準であるMASA認証を取得
Temuは、MASA認証も取得しています。本認証は、ドイツのDEKRAによる独立した評価に基づくものであり、Temuがモバイルアプリケーションセキュリティ評価(MASA)のサイバーセキュリティ基準に適合していることを示しています。
マルチファクタ認証の設定
Temuでは、アカウントのセキュリティ強化のために、マルチファクタ認証も取り入れたと発表しています。
この方式は、ログイン時にパスワードと認証コードなど、2つ以上の異なる認証要素を組み合わせることで、アカウントの不正アクセスリスクを効果的に低減するものです。同様の二段階認証の仕組みは、日本のオンライン証券会社などの分野でもすでに導入が進んでおり、世界的にも広く普及しており、アカウントセキュリティを強化するための重要な対策の一つとされています。
サイバー犯罪は、日夜進化しており、攻撃側と防御側との攻防は永遠の課題ともなっています。Temuだけでなく、日本国内のネット販売でも同様な課題があるともいえます。
決済時のデータセキュリティ認証を取得
Temuでは決裁時に、クレジット産業向けの国際的なデータセキュリティ認証であるPCI DSSを取得しています。
PCI DSSとは、大手クレジットカード5社が共同設立したもので、自主的な管理運用が実行されています。クレジットカード利用時のセキュリティとして、一定の保護対策を実施したものともいえます。
HackerOneとの提携
Temuは、サンフランシスコに本社を置くサイバーセキュリティプラットフォームであるHackerOneと積極的に連携し、バグバウンティプログラムを通じて潜在的な脆弱性の発見および修正に取り組んでいます。
個人利用時の安全対策
最後に、個人で利用する際の安全対策についても、以下に紹介します。
ただし、これはTemuに限らず全てのオンラインショッピングに対して必要な安全対策になります。
個人情報の安全対策
まずアカウント登録なしで、ゲストとして購入するという対策があります。ゲスト購入の場合でも、商品の発送に個人情報を入力する必要はありますが、会員登録をしないで済むことになります。会員登録をすると購入時の情報入力が簡単になるなどの特典や値引きセールの紹介などもありますが、あまり魅力を感じないのであれば、わざわざ会員登録する必要はありません。
次に、ウイルス対策済みのデバイスを使うという対策もあります。これは必ず実行した方がよい自己防衛の対策です。セキュリティ対策は不要と考える人もいるかもしれませんが、AIの発達もありサイバー脅威も日々増幅しているため、PCに限らず、スマホもウイルス対策が必須です。
支払い時の安全対策
ネットショッピングの支払では、クレジットカードやデビットカードをはじめとして、〇〇Payやコンビニ払いといった種類が用意されています。
たとえばPaidyは、事前登録やクレジットカードが不要にもかかわらず翌月にまとめて支払いができるという後払いサービスです。
またPayPalは、事前にクレジットカードの情報を登録しておく必要がありますが、決済時に個人情報を知らせる必要はありません。クレジットカードのようにカード番号を送信する必要がなく、非接触型での決済方法という点で、とくにセキュリティ性が高いといわれています。
また現金の場合は、コンビニに行ったりする手順は発生するものの、個人情報を抜き取られる心配は、ほぼないことになりますので、こうした支払い方法を変えることによる安全対策もぜひ検討してみてください。
商品選択時の安全対策
最後に、商品選択時の安全対策も重要となってきます。
商品品質にもし疑問がある場合は、商品の説明書き自体をよく確認することが大切です。
特に食品では、国が違えば、食品添加物などの規制が異なることもあります。購入の際には商品詳細、出品者情報、プラットフォーム上の説明を重点的に確認することが推奨されます。
また、Temuが国内販売者募集プログラムを開始したことで、消費者の選択肢もより多様化しています。利用者によっては、ローカル出店者の商品は、情報の理解しやすさ、配送体験、アフターサービスといった点において、参考になります。
ただ、食品や健康飲料以外の商品では、過度に心配することはないでしょう。
また商品品質だけではなく、出品物も出品者レビューで確認することがおすすめです。もっと見るボタンが表示されている場合には、画像も含めてまだ説明があるということになります。
Temuに掲載されているのは、ユーザーレビューだとされているので、画像や説明書きと実際の商品との違いがなかったかの確認にもなります。実際の使用感などは、ユーザーレビューに書かれているものと同様な可能性が高いのです。
特にご注意ください。Temuでは90日間返品ポリシー(90-day Returns)が設けられているため、基本的に安心して購入することが可能です。
多くの商品は90日間の返品期間が適用されており(条件あり)、各注文につき初回の返品は無料です。返金は元の支払い方法、またはTemuクレジットで受け取ることができます。さらに、配送の遅延が発生した場合には、内部基準に基づき補償としてクレジットが付与される場合があります。
また、買い物のコツとして、商品に付与されたタグを活用することで、目的に合った商品を見つけやすくなります。
例えば、「ブランド公式ストア」「スターセラー」「国内発送」などのタグを参考にすることで、ニーズに合った商品を効率的に選ぶことができます。特に「国内発送」商品は、通常1~2日程度で到着するケースが多いとされています。
■ 出店者ラベルと透明性(Seller Labels & Transparency)
「ブランド公式ストア」「スターセラー」などのラベルが付いている店舗は、比較的信頼性が高い傾向があり、購入時の重要な判断資料として活用できます。
■ 30日間価格保証(30-day Price Adjustment)
価格保証の対象となる商品については、購入後30日以内に価格が下がった場合、差額分をTemuクレジットとして返還申請することが可能です。
最近TemuではなくTikTokですが、インフルエンサー自体をだます手口も横行しているようです。海外からと思われますが、生成AIを使い、たくみにビジネス案件を持ちかけるものです。このように、新たなだましの手口はSNS上では、日夜開発されているともいえます。
個人の努力の限界もありますが、Temuでも同様な手口が蔓延する恐れがあり、なんでもありという意識をいつも頭のかたすみにおいていることも大切です。
まとめ
海外ネット販売大手として、Temuが怪しいと思われる理由や、実際の安全性について詳しく紹介しました。Temuの懸念点が未だに囁かれてはいるものの、イメージにより誤解してしまっていた部分もあったのではないでしょうか。
ただ、Temuに限らず全てのネットショッピングが便利さとリスクの両側面を持っています。ユーザーはもちろん、出店を検討している荷主様もそれぞれの特徴を理解して活用することが重要です。


