最近、米国などの海外でTemuがネット販売サイトとして特に注目されています。
米国では、Z世代と呼ばれる若年層からはじまり、さらに高年齢の層まですでに幅広く使用されています。
国内でも楽天など既にいろいろなネット販売サイトがあるなかで、中国発のネット大手として、日本でも若者を中心に徐々に拡大しています。ただTemuは使っても大丈夫なのかと言われることもあります。このように怪しいと思われる理由はどこにあるのでしょうか。
本記事では、Temuが怪しいと思われる理由や、実際の安全性について詳しく解説します。
Temuの特徴とは
Temuは、急成長を遂げる中国発のグローバルECモールであり、世界中で急速に売上とユーザー数を伸ばしています。
米国で2022年にネットサービスを開始して以降、Z世代だけではなくベビーブーマー世代も取り込んで、アプリダウンロード数は急速に増加しています。今では、カナダ、オーストラリア、ドイツなど欧米各国にも進出しており、2023年7月には日本でもサービスが開始されています。
Temuのビジネスモデルの特徴は、信頼性の高い海外サプライヤーと直接交渉して国境を越えた小売契約を結ぶことにあります。たとえばヤマト運輸などの、国際自家物流システムを利用したり、あるいは中国内の国営郵便事業と戦略的な協力関係の契約もあります。このように越境サプライチェーンでの関与が深く、さらなる発展が期待されています。
Temuが怪しいと思われる理由
急成長を遂げるTemuですが、その一方で「Temuは怪しいのでは?」と言われることもあります。このように利用者が懸念を抱く理由はどこにあるのでしょうか。
結論、Temuは合法的な企業が運営するショッピングサイトであり、セキュリティ対策も講じられております。一方で、過去には個人データが流出した疑惑が報じられたこともあり、一部で安全性への懸念が指摘されています。
そのため、利用に際してはメリットと懸念点の両方を理解した上で判断し、活用していくことが大切です。ただし、これはTemuに限った話ではなく、どのECプラットフォームであっても慎重に判断する必要があります。
それではTemuについて挙げられている懸念点について整理していきます。
セキュリティへの不安
Temuの親会社であるPDD(Pinduoduo)ホールディングスが運営していた別のアプリにて、2023年にマルウェアの疑惑が報じられたことでセキュリティに関する懸念があがりました。ただし、あくまでも親会社に対する懸念であり、その後はTemu自体もセキュリティ強化に乗り出しております。実際に2025年現在では、アメリカなどへの市場も拡大傾向にあり、2023年当時の懸念はいくらか解消された模様です。
送料無料で安すぎる
皆さんもイメージがあるかと思いますが、Temuのアイテムがあまりにも安いため、逆に懸念を抱かれてしまったという背景もあります。
実は、Temuの安さを支えているのが物流となっています。世界中の配送企業と提携し、効率的に運ぶことで物流コストを大幅にカットしています。こうした企業努力の結果、消費者も怪しいと感じてしまうほどの低価格が実現し、怪しいと疑われてしまいました。
アイテムが豊富すぎる
安いだけでなく、ファッション、日用品、美容関連品から電子機器や家電、家具に至るまで、取り扱うジャンルが幅広い一方で、模倣品や安全・品質基準を満たしていないというようなレビューがついてしまったことが懸念に繋がりました。ただ、安全や品質の基準などは国によっても異なり、利用者数が多く、匿名のレビューであることからその真偽は不明です。
広告や初回キャンペーンが派手すぎた
皆さんも一度は見た記憶があるのではないかと思いますが、2023年に日本上陸後、SNS広告やインフルエンサーマーケティング、テレビCM(年末の特番など)など様々なチャネルで広告が展開されました。また、初回限定クーポンなどのお得感もそれまでに目を見ないほどのものであったため、逆に懸念感にもなってしまいました。
急速に市場を取りにいくためのキャンペーンが却って怪しさを生んでしまったものの、あの短期間でこれだけの認知を獲得できたことは成功だったとも言えるかもしれません。
Temuサイト側の安全対策
これまでTemuが怪しいと思われてしまった懸念点を整理してきましたが、セキュリティに対する懸念は依然として払拭しきれていないかと思います。そこでTemuサイト側の安全対策について、下記にてより詳細に紹介します。
サイバー犯罪対策組織APWGへの加盟
2024年4月、Temuはサイバー犯罪対策組織APWGへ加盟しています。
APWG(Anti-Phishing Working Group)とは、2003年に設立された国際組織で、フィッシングやなりすましによる詐欺などのサイバー犯罪に立ち向かう団体です。APWGは定期的にサイバー犯罪についてのレポートを発表しており、2023年には世界で500万件以上ものフィッシング詐欺を認めたと報告しています。
セキュリティ国際標準MASAの導入
Temuでは、セキュリティ国際標準MASA(Mobile Application Security Assessment)も導入しています。
MASA とは、アプリのセキュリティアーキテクチャの透明性を高めることを目的として導入されたものです。国際標準を遵守することに加えて、脆弱性報奨金制度を活用して、積極的に脆弱性に対処するとしています。
マルチファクタ認証の設定
Temuでは、アカウントのセキュリティ強化のために、マルチファクタ認証も取り入れたと発表しています。
マルチファクタ認証とは、サービスへのログイン時に2つ以上の異なる認証要素を組み合わせることを意味します。日本でもネット証券会社などでは、ようやく2段階認証がはじまったばかりであり、日本を含めて中国でもまだまだといったレベルにあるのかもしれません。
サイバー犯罪は、日夜進化しており、攻撃側と防御側との攻防は永遠の課題ともなっています。Temuだけでなく、日本国内のネット販売でも同様な課題があるともいえます。
決済時のデータセキュリティ認証を取得
Temuでは決裁時に、クレジット産業向けの国際的なデータセキュリティ認証であるPCI DSSを取得しています。
PCI DSSとは、大手クレジットカード5社が共同設立したもので、自主的な管理運用が実行されています。クレジットカード利用時のセキュリティとして、一定の保護対策を実施したものともいえます。
個人利用時の安全対策
最後に、個人で利用する際の安全対策についても、以下に紹介します。
ただし、これはTemuに限らず全てのオンラインショッピングに対して必要な安全対策になります。
個人情報の安全対策
まずアカウント登録なしで、ゲストとして購入するという対策があります。ゲスト購入の場合でも、商品の発送に個人情報を入力する必要はありますが、会員登録をしないで済むことになります。会員登録をすると購入時の情報入力が簡単になるなどの特典や値引きセールの紹介などもありますが、あまり魅力を感じないのであれば、わざわざ会員登録する必要はありません。
次に、ウイルス対策済みのデバイスを使うという対策もあります。これは必ず実行した方がよい自己防衛の対策です。セキュリティ対策は不要と考える人もいるかもしれませんが、AIの発達もありサイバー脅威も日々増幅しているため、PCに限らず、スマホもウイルス対策が必須です。
支払い時の安全対策
ネットショッピングの支払では、クレジットカードやデビットカードをはじめとして、〇〇Payやコンビニ払いといった種類が用意されています。
たとえばPaidyは、事前登録やクレジットカードが不要にもかかわらず翌月にまとめて支払いができるという後払いサービスです。
またPayPalは、事前にクレジットカードの情報を登録しておく必要がありますが、決済時に個人情報を知らせる必要はありません。クレジットカードのようにカード番号を送信する必要がなく、非接触型での決済方法という点で、とくにセキュリティ性が高いといわれています。
また現金の場合は、コンビニに行ったりする手順は発生するものの、個人情報を抜き取られる心配は、ほぼないことになりますので、こうした支払い方法を変えることによる安全対策もぜひ検討してみてください。
商品選択時の安全対策
最後に、商品選択時の安全対策も重要となってきます。
商品品質にもし疑問がある場合は、商品の説明書き自体をよく確認することが大切です。
特に食品では、国が違えば、食品添加物などの規制が異なることもあります。日本の消費者側ではなかなか実際の規制値はわからず、まして、規制種類の実際の測定値が公表されているとは限りませんので、注意が必要です。
ただ、食品や健康飲料以外の商品では、過度に心配することはないでしょう。
また商品品質だけではなく、出品物も出品者レビューで確認することがおすすめです。もっと見るボタンが表示されている場合には、画像も含めてまだ説明があるということになります。
Temuに掲載されているのは、ユーザーレビューだとされているので、画像や説明書きと実際の商品との違いがなかったかの確認にもなります。実際の使用感などは、ユーザーレビューに書かれているものと同様な可能性が高いのです。
最近TemuではなくTikTokですが、インフルエンサー自体をだます手口も横行しているようです。海外からと思われますが、生成AIを使い、たくみにビジネス案件を持ちかけるものです。このように、新たなだましの手口はSNS上では、日夜開発されているともいえます。
個人の努力の限界もありますが、Temuでも同様な手口が蔓延する恐れがあり、なんでもありという意識をいつも頭のかたすみにおいていることも大切です。
まとめ
海外ネット販売大手として、Temuが怪しいと思われる理由や、実際の安全性について詳しく紹介しました。Temuの懸念点が未だに囁かれてはいるものの、イメージにより誤解してしまっていた部分もあったのではないでしょうか。
ただ、Temuに限らず全てのネットショッピングが便利さとリスクの両側面を持っています。ユーザーはもちろん、出店を検討している荷主様もそれぞれの特徴を理解して活用することが重要です。

