EC事業者にとって「販売チャネルを増やすべきかどうか」は常に悩ましいテーマです。チャネルを増やせば売上の上積みが期待できる一方、在庫管理や受注処理の負担も増えます。
そんな中、急成長を続けるECモールTemu(テム)に出店し、短期間で成果を上げる国内企業が出てきています。本記事では、実際にTemuで売上を伸ばした企業の事例を紹介しながら、出店の流れやマルチチャネル運営のポイントを解説します。
急成長するECモール「Temu」とは
Temuは、PDDホールディングスが運営するグローバルECプラットフォームです。2022年9月に米国でサービスを開始し、2023年7月には日本市場に進出。現在は世界100の市場で事業を展開しています。
日本のEC事業者にとって注目すべきポイントは大きく2つあります。1つ目は、楽天市場やAmazonとは異なるユーザー層にリーチできること。2つ目は、2025年1月に始まった「国内販売事業者募集プログラム」により、日本国内に在庫を持つ事業者であれば出店できるようになったことです。
つまり、既存チャネルの売上を食い合うリスクが低く、かつ参入のハードルも以前より下がっており、EC事業者にとっては新たな販路候補として検討する価値が高まっています。
出店3か月で5,700点以上を販売 ── Comconの事例
では実際にTemuに出店した企業は、どのような成果を上げているのでしょうか。ここでは、園芸用品を中心にEC販売を展開するComcon(コムコン)の事例を紹介します。
Comconとは
兵庫県小野市に拠点を置くComconは、防災用品・アウトドア用品・園芸電動工具の企画・販売を行う企業です。2019年から園芸用品のEC販売をスタートし、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなど複数のECモールに出店して、着実にオンライン販売を拡大してきました。
Temu出店後の成果
Temuへの出店後、わずか3か月で5,700点以上を販売。複数ある販売チャネルの中でも上位に食い込む結果となりました。しかも広告費はほとんどかけていないといいます。
Temuには既存モールとは異なるユーザー層がおり、調査によるとTemuユーザーの約2割が20代とされています。これまでリーチしにくかった若年層の獲得にもつながっており、楽天やAmazonの売上に影響を与えることなく、純粋に売上が上乗せされた形です。競争が激しいEC市場の中で「ブルーオーシャン」としての可能性を感じているとのことです。
ユーザーの声が新商品を生む
さらに興味深いのが、Temuに集まるユーザーレビューを商品開発に活かしている点です。
もともとComconは野良猫対策用の超音波スピーカーを販売していました。しかしTemuのレビューを分析すると、この商品をクマ避けとして使っているユーザーがいることが判明。全国各地でクマの出没が相次ぐという社会課題とも重なり、Comconは超音波スピーカーを応用した「クマ避け仕様」の新商品開発を進めています。

単なる販売チャネルとしてだけでなく、ユーザーの声をリアルタイムで収集し商品企画に反映する「市場調査の場」としてもTemuを活用している好例といえます。
Temu出店の流れ
Temuへの出店プロセスは比較的シンプルです。
Step 1:アカウント登録・出店審査
事業形態(法人・個人事業主など)に応じたビジネス情報を入力し、本人確認書類や住所証明書類を提出して審査を受けます。
Step 2:ストア設定
審査通過後は、ストア名やロゴの設定、配送方法・配送地域の設定、売上振込用口座の登録を行います。
Step 3:商品登録・販売開始
商品情報を入力すれば販売開始です。登録商標がある商品は「ブランド公式ストア」として出店でき、消費者からの信頼度向上にもつながります。
なお、Temuのデータによると、新規出店者の50%以上が登録後20日以内に初受注を達成しており、集客力の高さがうかがえます。
チャネルが増えるほど重要になる「バックヤードの自動化」
Temuへの出店で売上が伸びたとしても、受注処理や在庫管理が手作業のままでは、チャネルが増えるほど現場の負担が膨らみます。複数のチャネルを同時に運営するケースでは、「在庫のズレ」や「出荷の遅延」がいつ起きてもおかしくありません。
マルチチャネル運営を安定させるために必要なのは、受注管理(OMS)と倉庫管理(WMS)を一元化し、出荷を自動化する仕組みです。
LOGILESSなら、Temuの受注・在庫管理もまとめて自動化
EC自動出荷システムLOGILESS(ロジレス)は、OMS(受注管理)とWMS(倉庫管理)が一体となったシステムです。楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど国内主要モールとAPI連携済みで、受注から出荷までの90%以上を自動化できます。
【受注の自動取込】 TemuのSeller Centerから受注情報が自動的にLOGILESSに取り込まれます。手動でのCSVダウンロードやコピペ作業は不要です。
【出荷情報の自動連携】 LOGILESSから配送会社・送り状番号がTemuのSeller Centerに自動送信されます。出荷通知の反映漏れを防げます。
【在庫のリアルタイム同期】 LOGILESSの在庫データとTemuの在庫数をリアルタイムで連動。他チャネルで売れた分も即座に反映されるため、売り越しリスクを最小限に抑えられます。
つまり、Temuに出店しても、楽天やAmazonと同じようにLOGILESSで一元管理できるということ。新たにチャネルが1つ増えても、現場のオペレーションをほとんど変えずに対応することができます。
よくある質問(FAQ)
Q:Temuに出店するのに費用はかかりますか?
A:Temuへの出店登録に初期費用はかかりません。低リスクで新しいチャネルに参入できます。まずは少量の商品からテスト出品し、反応を見ながら拡大するのがおすすめです。
Q:既存のECモール(楽天・Amazon等)と並行して運営できますか?
A:はい、並行運営は可能です。Comconの事例でも複数のチャネルを同時に運営しています。ただし、チャネルが増えるほど在庫管理や受注処理の負担が増すため、LOGILESSのようなOMS・WMS一体型システムで受注〜出荷を自動化しておくと、チャネル追加時もスムーズです。
Q:Temuに出店すると既存モールの売上に影響はありますか?
A:Comconの事例では、Temuのユーザー層は既存モールとは異なる新しい消費者層が中心であり、既存チャネルの売上への影響は見られていません。「売上の食い合い」ではなく「純粋な上乗せ」が期待できる点が、Temuの特徴です。
まとめ
Temuは、先行者メリットを活かしやすいタイミングにある新興ECモールです。Comconの事例が示すように、広告費を抑えながら既存チャネルとは異なる顧客層にリーチできる点は、マルチチャネル戦略を進めるEC事業者にとって魅力的な選択肢といえます。
一方で、チャネルが増えるほど重要になるのが、バックヤード業務の効率化です。せっかく新しいモールで売上が伸びても、受注処理や在庫管理に追われていては、成長の足枷になってしまうので、こうしたバックヤード業務の効率化もセットで検討するのがおすすめです。

