物流の“複雑さ”を“掛け算的アプローチ”で解決。「LOGILESS Plus[WMS]」開発の舞台裏

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物流は今、かつてない変革期を迎えています。物流関連の法改正が行われ、物流業全体としてこれまで以上に効率化し、生産性を高める必要性が高まっています。一方で、消費者ニーズやライフスタイルの多様化、スポットワーカーの増加など働き方の変化もあり、経験などにより属人的に生産性を高めるのは困難な状況です。

こうした物流業界の課題を解決すべく、2023年から「LOGILESS Plus[WMS]」という倉庫内での作業効率を向上させる倉庫管理システム(WMS)のオプションプランを開発し、2024年7月にリリースしました。

今回は、1500社以上のEC事業者様にLOGILESSをご利用いただいているなか、なぜ倉庫管理システム(WMS)機能の強化を目指したのか、何にこだわったのかなど、「LOGILESS Plus[WMS]」 開発の舞台裏を弊社の「LOGILESS Plusチーム」(以下、ロジプラチーム)にインタビューしました。

現在LOGILESSをご利用いただいている企業様はもちろん、まだ使っていない場合でも「今よりも物流を効率化したい!」という思いをお持ちの方はぜひご一読いただけますと幸いです。

もくじ

入口(EC)が広がっても、出口(倉庫)が詰まれば意味がない

── 「LOGILESS Plus[WMS]」開発のきっかけは何だったのでしょうか?

ロジプラチーム: 

LOGILESSは「OMS(受注管理システム)とWMS(倉庫管理システム)の一体型」が特徴ではあるのですが、正直なところこれまではOMS側の機能の豊富さで選んでいただくことが多かったんです。「ロジレスならECの受注周りの自動化は何でもできる」と。

しかし、ここ数年で風向きが大きく変わりました。 「いくらOMSという『入口』で大量の注文を効率よくさばけても、WMSという『出口』側である倉庫で出荷が詰まってしまうと意味がない」というご意見をいただくようになりました。これは2024年問題が叫ばれ始めた2023年ごろ、実際に倉庫の現場に伺った際にその必要性を強く実感しました。

こうした背景から、倉庫オペレーションをさらに強化できる「LOGILESS Plus[WMS]」の開発がスタートしました。

── LOGILESSに備わっている標準のWMS機能だけでは不十分だったのでしょうか?

ロジプラチーム: 

既存機能でも基本的な倉庫業務の対応は十分可能です。しかし、「受注日当日中出荷」や、「ギフト」対応など倉庫への要望が高度化している今求められるのは「倉庫業務を回すことができる」ではなく「誰でも、迷わず、間違えずに、最速で出せる」レベルのオペレーションです。 倉庫の現場を見渡すと、いまだに「この出荷作業はベテランの〇〇さんじゃないと分からない」という属人化が残っています。これを解消し、LOGILESS自体が「倉庫オペレーションの最強の武器」になるために生まれたのが「LOGILESS Plus[WMS]」です。

機能の“足し算”ではなく“掛け算”で、AIでは解けない課題を解決

── 昨今はAIや便利なツールを繋いで解決する手法が一般的には多いと思いますが、それではダメなのでしょうか?

ロジプラチーム: 

確かに、AIの普及やツールの多様化により、DXや効率化はしやすくなっていると思います。しかし、物流倉庫管理システムなど物流業務に関して言えば、AIやツールの連携だけでは解決できない部分が多く残っているのが現状です。 

まず”AI”についてですが、AIは決して魔法ではありません。 AIが正解を出すには、整ったデータが必要です。しかし多くの倉庫現場には、データ化されていない「暗黙知」の塊が存在しており、AIでは活用することができません。

また、便利なツールをいくつも導入してつなぎ合わせる“足し算的アプローチ”もよく見かけますが、私たちは“掛け算的アプローチ”を目指しています。

── “掛け算的アプローチ”…ですか?

ロジプラチーム: 

ええ。ピッキングはこのアプリ、在庫管理はこのソフト、送り状発行は運送会社のシステム……というように様々なツールをつぎはぎする“足し算的アプローチ”は、一見高機能に思えても、データの繋ぎ目で必ず「人間や外部ツールによる調整」が発生します。 「CSVを書き出して、加工して、あっちに取り込んで……」という作業です。これではシステムに使われているようなものであり、結局のところ非効率になる可能性があります。

LOGILESS Plus[WMS]が目指すのはそうではなく、“掛け算的アプローチ”です。 LOGILESSは受注から在庫引当、ピッキング、検品、送り状発行までが、1つの脳みそで繋がっています。これを活かすことでデータの断絶がなく、AI活用以前の「当たり前の自動化」が高いレベルで実現できるシステムを目指しています。つまり、それぞれの機能を人の手を介さずに連携し、掛け合わせることで、足し算よりも効率的に、さらに高い価値を生み出せるシステムの実現です。

開発の裏にある物流ならではの“複雑さ”との戦い

── 開発にあたって一番苦労した、あるいはこだわったポイントはどこでしょうか?

ロジプラチーム:

 (苦笑しながら)これは開発者視点の話になりますが、配送キャリア周りの仕様など、物流ならではの目に見えない“複雑さ”との戦いが一番苦労しましたね。

── 目に見えない“複雑さ”…とは、言える範囲ですとどのようなものでしょうか?

ロジプラチーム:

はい。例えば「送り状発行」ひとつとっても、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便、それぞれのシステム仕様は全く異なりますし、公開されていない複雑なルールも山ほどあります。 本来であれば、倉庫様が個別に各社のシステムと戦わなければならないこの“複雑さ”を、ロジレス側ですべて引き受けようと決めました。

もちろん、このような“複雑さ”は各社のやむを得ない事情によるものであることは理解していますが、こうした物流業界特有の“複雑さ”が様々な部分にあるため、単純にAIを活用してできるシステムではないんですよね。長い時間をかけて各社のシステムと向き合ってきたロジレスだからこそ提供できる価値でもあると思って頑張っています!

── なるほど、このような“複雑さ”を解明しながら進めるとなると、一朝一夕で人手をかければできるものではないですねちなみに、こだわりの部分はどこでしょうか?

ロジプラチーム:

そうですね…どの機能もこだわりが詰まっているのですが、「送り状後出し発行」の機能で紹介します。

一般的には1オーダーにつき1個口の想定で送り状を先に発行しておくのが通常ですが、梱包してみたら1個口に収まらず2個口になってしまった、ということが起きがちです。そして、 そのたびに事務所に戻ってデータ修正をするという作業が発生します。

こうした作業をなくすために、現場で梱包サイズを確定させた瞬間に、正しい送り状がプリンターから出る仕組みを作りました。 裏側のプログラムは複雑怪奇ですが、ユーザーさんには「ボタンを押せば出る」というシンプルさだけを提供したい。そこには相当な執念を持って開発をしています。

また、現状ではまだ限定的ですが、LOGILESS Plus[WMS]は全部で7つの機能を有しており、これらを掛け合わせることで、様々な物流オペレーションがより効率化できるように各機能の連携にもこだわって日々改善を行っています。

LOGILESS Plus[WMS]は“じわじわ効く漢方薬”のような確実性

── とても便利そうですが、導入すればすぐに効果が出ますか?

ロジプラチーム:

誤解を恐れずに言えば、導入翌日に生産性が劇的に変わるような「特効薬」や「魔法」ではありません。 むしろ、LOGILESS Plus[WMS]は“じわじわ効く漢方薬”のようなものです。

例えば、「スマートピッキング」機能を使って、商品を探す時間を1回あたり10秒縮める。 「送り状発行」のCSV連携の手間を、1日15分なくす。 こういった小さな改善は、1日単位では地味に見えるかもしれません。しかし、1ヶ月、1年と積み重なると、とてつもない時間の創出になります。

── なるほど。「塵も積もれば」ですね。

ロジプラチーム:

その通りです。新たに生み出された時間を活用して別の価値を創出できるのはもちろんですが、「採用と教育のコストダウン」という別の効果もあります。

LOGILESS Plus[WMS]を活用してオペレーションが標準化されれば、例えば、その日だけの勤務かもしれない「スポットワーカー」さんでも、ハンディの指示に従うだけで、即戦力として出荷の対応ができるかもしれません。スポットワーカーだけでなく、新しく働く人にとってもシステムが整備されており、安心して働ける環境であるに越したことはないと思います。 「人が採れない」時代において、これ以上のリスクヘッジはないはずです。

ロジレスは「ツールベンダー」から「パートナー」へ

── 最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

ロジプラチーム:

私たちは、単に「機能」を売るだけのベンダーで終わりたくないと考えています。 「LOGILESS Plus[WMS]」は、企画・開発・倉庫コンサルティング部隊が一丸となった総力戦のプロジェクトです。

そのため、「今よりも物流オペレーションを効率化したい!」という思いがある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。もちろん、どうしたら良いか、何を改善したら良いかわからないという企業様でも問題ありません。「LOGILESS Plusチーム」が貴社にあったLOGILESS Plus[WMS]の導入・運用方法をご提案させていただきます。

この記事を書いた人

ロジレス編集部

ロジレス編集部は、EC事業者・倉庫事業者さまに向けて業務改善や売上拡大のヒントをお届け。 システムの効果的な活用方法から業界ニュースまで、現場目線で情報を発信しています。

※掲載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性や最新性を保証するものではありません。内容が誤っている可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

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