棚卸差異とは?発生原因から対策まで徹底解説

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もくじ

導入文

在庫管理において、帳簿上の数量と実際の在庫が合わず、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、棚卸差異の基本的な定義から発生原因、具体的な対策方法、効果的な棚卸作業の進め方、会計処理までわかりやすく解説します。

この記事の結論

  • 棚卸差異率は業種によって基準が異なり一般的には5%以内が許容範囲
  • 入出庫時のミスや管理ルールの不徹底が主な発生原因
  • 在庫管理システムの導入や日次棚卸の実施、業務マニュアルの整備が有効な対策

棚卸差異とは

帳簿在庫と実在庫のズレを指す棚卸差異について、基本的な定義と企業への影響を見ていきましょう。

棚卸差異とは、倉庫に保管されている実際の在庫数量と管理帳簿に記載されている在庫数量との数量的なズレを指します。実際に棚卸して数えた商品数(実地棚卸数量)と、帳簿で記録されている商品数(帳簿棚卸数量)に差が生じている状態のことです。

棚卸差損と棚卸差益の違い

棚卸差異には、プラスである「棚卸差益」とマイナスである「棚卸差損」があります。棚卸差損とは、データ上の在庫数は100なのに実際に数えたときに98個しかないなど、実在庫数が管理上の数値より少ない場合を指します。逆に、棚卸差益とは、データ上の在庫数は100なのに実際に数えたときに102個あるなど、実在庫数が管理上の数値より多い状況です。

差損は資産の減少を意味します。差益は逆に資産の増加を示します。どちらも管理精度の低下を表すため、プラス・マイナスにかかわらず原因の特定と改善が求められます。

棚卸差異が企業に与える影響

在庫は企業の資産として扱われるため、帳簿上の在庫数量が実際の数量よりも多い場合には、実際には所有していない資産を計上することになります。これにより実際の資産よりも多い額で把握してしまうなど、財務管理に悪影響を及ぼします。棚卸差異率がマイナスの場合、資産としての在庫金額が減るほか、販売予定の商品が足りないため期待した売上や利益を生み出せなくなるのです。

棚卸差異率の計算方法と許容範囲

差異の大きさを数値化する棚卸差異率の計算式と、業種ごとの許容範囲を確認していきます。

棚卸差異率の計算式

棚卸差異率は以下の計算方法で求められます。

計算式は「(実在庫数-帳簿上の在庫数)÷帳簿上の在庫数=棚卸差異率」です。例えば、実在庫が98個で帳簿上の在庫は100個の場合、(98-100)÷100=-0.02となり、2%の棚卸差損が発生していることになります。

なお、情報源によっては「(帳簿上の在庫数−実在庫数)÷帳簿上の在庫数」と分子の順序が逆に表記されている場合もあります。その場合はプラス・マイナスの符号が反転しますが、差異の大きさ自体は同じです。自社内で計算式を統一し、定期的に計算して傾向を把握することが管理の第一歩です。改善効果の測定にも活用できるでしょう。

一般的な許容範囲と業種による違い

棚卸差異率の許容範囲は一般的に5%までとされています。一般的に棚卸差異は5%までが許容範囲とされており、2〜3%が目標値です。ただし、業種や取扱品目の特性によって基準は異なり、品目数が多く流動が激しい製造業や卸売業では1~2%を目標値とするケースもあります。

在庫の正確性が重視される小売業や医療・食品関連業界では1%未満を目標とする企業も増えており、2%以上は注意が必要なレベル、3%以上は在庫管理の運用に見直しが必要とする企業もあります。業種特性を踏まえた基準設定が必要です。自社に適した目標値の設定が大切でしょう。

差異率から見る経営への影響度

棚卸差異率は、少なければ少ないほど理想的です。差異率が高いほど、在庫管理や記録プロセスに改善余地がある状態といえます。5%を超えている場合は、企業の経営にも影響する可能性があるため、差異率を減らせるように発生原因を追求して改善しなければいけません。

棚卸差異が発生する主な原因

入出庫時の伝票処理ミス、検品作業における誤り、在庫保管時の管理不備が3大原因です。従来の在庫管理では、現場で在庫情報を書き写してその後エクセルへ入力するといった作業が一般的でした。

入出庫時の伝票処理ミス

従来の在庫管理は、現場で在庫情報を書き写してその後エクセルへ入力するといった作業が一般的でした。この方法では作業にタイムラグが生じ、手作業での入力によりミスが起きやすくなります。在庫管理システムへの入力もれや入力ミス、数字を間違えて入力したり処理し忘れていたりすると、在庫数は合いません。

二重作業が誤りを生みます。リアルタイム性の欠如が原因です。システム化により改善できるでしょう。

検品作業における誤り

倉庫において商品の入出庫を行う際、商品の品目や数量を間違えれば棚卸差異につながります。入出庫時の検品は、適切に在庫を管理するための基本です。入荷時に発生する差異の主な原因には伝票のチェックミス、処理漏れがあり、取り扱う商品の種類や数量が増えれば検品ミスの可能性も上がるため、十分なチェック体制が必要です。

在庫保管時の管理不備

在庫の保管場所の整理が行き届いていないと、在庫数に差異が生じやすくなります。保管に関するルールが徹底されていない、正しく認識されていなかったりする場合も棚卸差異につながる可能性があります。在庫の整理整頓不足による紛失や盗難、破損といったケースも考えられるでしょう。

棚卸差異がもたらす悪影響

キャッシュフローの悪化、顧客満足度の低下、生産効率の低下といった多方面への影響があります。
帳簿上の在庫数よりも実際の在庫数が多いことに気づかず商品を発注してしまうと、過剰在庫が発生する可能性があり、キャッシュフローの悪化につながるリスクもあるでしょう。

キャッシュフローの悪化

帳簿上の在庫数よりも実際の在庫数が多いことに気づかず商品を発注してしまうと、過剰在庫が発生する可能性があり、キャッシュフローの悪化につながることがあります。過剰在庫は利益を生み出さず、キャッシュフローを悪化させます。流行遅れなどによって不良在庫になる可能性が高く、売れる見込みのない在庫は管理や廃棄にコストがかかるため、企業にとって大きな損害となるでしょう。

顧客満足度の低下

在庫数が合わないと商品や製品の提供がスムーズに行えず、顧客満足度の低下につながります。帳簿在庫と実在庫の不一致が頻繁に生じると、在庫確認をしようにも帳簿の数字があてになりません。出荷のタイミングで在庫が足りていないことに気付くケースも考えられ、納期に遅れが生じ、顧客からの信用を失ってしまいます。

生産効率の低下と追加コスト

帳簿在庫と実在庫が異なっていると生産効率の低下につながります。帳簿上には在庫があるはずなのに実際には見つからない場合、在庫を探す手間がかかるでしょう。在庫差異が発生すればその原因を突き止めるための調査が必要となり、余計な時間と人手を割かなくてはならず、追加の人件費も発生するでしょう。

効果的な棚卸作業の進め方

棚卸の種類選択から当日の作業手順まで、精度を高める方法を解説します。

棚卸の種類と選択方法

棚卸の方式は大きく分けて「循環棚卸」「一斉棚卸」の2種類があります。
循環棚卸とは、「棚ごと」「商品ごと」など、作業日を複数に分け、少しずつ棚卸を行う方法です。通常業務を停止することなく、少人数・短時間で棚卸を行え、効率的に棚卸をしたい場合や多品種の在庫が少量ずつある場合に適しています。

一斉棚卸とは、作業日を定め、一気に棚卸を行う方法で、通常業務を停止し大人数で棚卸を行いますが、計画が立てやすく棚卸の精度も高くなります。事業特性に応じた選択が必要です。それぞれにメリット・デメリットがあるでしょう。

棚卸前の準備作業

倉庫は日ごろから整理整頓しておき、棚卸の際スムーズに作業できるようにしておきましょう。同じ商品は同じ棚にまとめ、同カテゴリの商品は近くのエリアにまとめる、商品は5個ずつ・10個ずつなどカウントしやすい個数でまとめるといった工夫が有効です。棚卸計画表を作成し、作業範囲、人員配置表、倉庫見取り図、スケジュール、在庫管理表などの項目を組み込んでおくことで、作業員も時間を意識して作業を進めやすくなります。

棚卸当日の作業手順

棚卸の作業は、エリアごと・商品カテゴリごとに作業範囲を区切り、複数チームがそれぞれの範囲を担当するとよいでしょう。各チームは2人1組のペアにして、「現場での数量確認担当」と「PCでの数量記録担当」で作業を分担することで作業に集中しやすくなり、ミスが発生しにくくなります。定期的に進捗共有を行い、在庫数のずれを防ぎ、万が一数え間違いや漏れがあってもそこからやり直せるようにしておくことが大切です。

棚卸差異を防ぐための対策方法

業務ルールの標準化、日次棚卸の実施、在庫管理システムの導入が3つの柱です。ヒューマンエラーを完全に防止することは困難ですが、ミスを減らすためにはルール作りが大切といえるでしょう。

業務ルールの標準化とマニュアル作成

ヒューマンエラーを完全に防止することは困難ですが、ミスを減らすためにはルール作りが欠かせません。ミスの原因が何であったか明確にし、再発防止のための具体的なアイディアを話し合いましょう。「入荷」「保管」「出荷」「棚卸」「品質管理」の各工程ごとに、業務手順のマニュアル作成をおすすめします。

誰でも再現できるような、わかりやすく簡単なフローにし、間違いや見落としが発生しやすい箇所は注意喚起しておくことが大切です。

日次棚卸の実施

日次棚卸とは当日入出庫分の在庫数を確認する作業です。棚卸を四半期に一度のペースで行う企業もありますが、こまめに棚卸をすることで差異を最小限にできます。帳簿やソフトウェアを活用し、毎日データ上で在庫数の増減を管理する帳簿棚卸をあらかじめ行っておくことで、実地棚卸の負担を軽減します。

業務終了間際に日次棚卸しを実施すると在庫数のズレが起こりにくく、万が一棚卸差異が発生しても原因が特定しやすいため、適切な在庫管理が実現可能です。

在庫管理システムとツールの導入

在庫管理システムを活用するとリアルタイムで在庫状況を管理できます。バーコードやQRコードを活用した方式では、商品や棚に貼られたコードをハンディターミナルやスマートフォンで読み取り、品目や数量を入力することで記帳できます。リアルタイムで正確な記帳ができ、商品の場所も分かりやすくなるため入出荷作業も楽になるでしょう。

RFID方式では、商品に貼ったICタグを電波で読み取り、情報を記帳する方法で、電波の及ぶ範囲であれば一度に複数のICタグを読み込めるため、スピーディーな作業が可能です。伝票の作成や処理は自動化され、入力ミスや処理漏れなどの人的ミスも減らせるでしょう。

こうした在庫管理システムの中でも、OMS(受注管理システム)とWMS(倉庫管理システム)が一体型になったシステムを選ぶと、受注から出荷までの情報がリアルタイムで連動するため、入力漏れやタイムラグによる棚卸差異をより効果的に抑えることができます。例えばLOGILESSでは、倉庫での在庫操作がリアルタイムで在庫数に反映されるほか、バーコードやハンディターミナルを活用した検品・棚卸にも対応しており、人的ミスの削減と棚卸作業の効率化を同時に実現できます。また、複数の倉庫を運用していても標準化されたオペレーションで一元管理ができるため、拠点ごとの管理ルールのばらつきによる差異も防ぎやすくなります。

さらに、LOGILESSには実地棚卸機能が標準搭載されており、システム上の論理在庫と実在庫の差異を比較・検証することが可能です。実際の在庫数の入力は画面からの手入力、CSVによる一括入力、庫内デバイスでの入力に対応しているため、棚卸作業の負担を軽減しながら差異の早期発見・修正に役立てることができます。

棚卸差異発生時の会計処理と仕訳

棚卸差損と棚卸差益それぞれの仕訳方法と、原因不明時の処理を確認します。

棚卸差損が発生した場合の仕訳

実在庫数が少ない場合は「棚卸減耗費」と呼ばれる勘定科目で仕訳します。例えば、帳簿在庫が5,000円(10個×原価50円)で実在庫が2,500円(5個×原価50円)の場合、実在庫に合わせるため帳簿在庫から2,500円引き、仕訳を行うのですが、仕訳は「(借方)棚卸減耗費2,500/(貸方)繰越商品2,500」となるのです。

棚卸差益が発生した場合の仕訳

実在庫数が多い場合は「繰越商品」という勘定科目で仕訳します。帳簿在庫が2,500円(5個×原価50円)で実在庫が5,000円(10個×原価50円)の場合、実在庫に合わせるため帳簿在庫へ2,500円加えます。

例えば、仕入計上を忘れていたことが原因の場合、仕訳は「(借方)繰越商品2,500/(貸方)仕入2,500」です。なお、棚卸差益の原因は仕入計上漏れに限らないため、原因に応じて適切な勘定科目を選択する必要があります。

原因不明時の勘定科目の選択

在庫差異の原因が不明な場合、「棚卸差益」「雑収入」の勘定科目で仕訳します。企業によってほかの勘定科目を使うこともあります。棚卸金額は粗利を決める要素であり、棚卸差異が起きると営業利益や経常利益にも影響するでしょう。

定期的に棚卸作業を実施し、在庫のズレを発見・修正することが大切です。会計基準に沿った処理が求められます。
監査対応も視野に入れるべきでしょう。

棚卸差異に関するよくある質問(FAQ)

Q. 棚卸差異率の計算方法は?

棚卸差異率は「(実在庫数-帳簿上の在庫数)÷帳簿上の在庫数」で算出できます。例えば実在庫が98個、帳簿上の在庫が100個の場合、(98-100)÷100=-0.02で、2%の棚卸差損が発生していることになります。

Q. 棚卸差異率の許容範囲はどのくらい?

一般的には5%までが許容範囲とされ、2〜3%を目標値とする企業が多いです。ただし、業種や取扱品目によって異なり、医療・食品関連業界や小売業では1%未満を目標とする企業もあります。

Q. 棚卸差異を減らすために最も効果的な方法は?

業務ルールの標準化・マニュアル整備、日次棚卸の実施、在庫管理システムの導入が有効です。特にOMS・WMS一体型のシステムを導入すると、受注から出荷までリアルタイムで在庫情報が連動するため、入力漏れやタイムラグによる差異を大幅に削減できます。

まとめ

棚卸差異は、帳簿在庫と実在庫のズレを指し、企業経営に大きな影響を与える課題です。差異率の許容範囲は業種によって異なり、一般的には5%以内、目標値は2〜3%とされていますが、在庫の正確性が重視される業界では1~2%を目標とする企業もあります。入出庫時のミスや管理ルールの不徹底、検品作業の誤りなどが主な発生原因となり、キャッシュフローの悪化、顧客満足度の低下、生産効率の低下といった悪影響をもたらします。対策としては、業務ルールの標準化とマニュアル作成、日次棚卸の実施、在庫管理システムやバーコード・RFIDなどのツール導入が有効です。棚卸差異を最小限に抑え、適切な在庫管理を実現することで、企業の財務状況の改善と業務効率の向上が期待できます。

LOGILESSのようなOMS・WMS一体型のシステムを活用すれば、入出庫のリアルタイム反映やバーコード検品、実地棚卸機能を通じて、棚卸差異の発生を最小限に抑えることが可能です。在庫管理の精度向上にお悩みの方は、ぜひLOGILESSの導入をご検討ください。

この記事を書いた人

ロジレス編集部

ロジレス編集部は、EC事業者・倉庫事業者さまに向けて業務改善や売上拡大のヒントをお届け。 システムの効果的な活用方法から業界ニュースまで、現場目線で情報を発信しています。

※掲載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性や最新性を保証するものではありません。内容が誤っている可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

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