EC事業を始めたものの、「日々の運営業務に追われてコア業務が後回しになっている」「人手不足で売上が伸ばせない」と感じている担当者は少なくありません。こうした課題を解消する手段として注目されているのが、EC運営代行サービスです。 本記事では、EC運営代行の定義から業務内容・費用相場・選び方まで、事業者が押さえておくべき情報をわかりやすく解説します。
この記事の結論
- EC運営代行とは、ECサイト運営に関わる業務を外部の専門会社に委託するサービスである
- 業務範囲・料金体系はサービスによって異なり、自社の課題に合わせた選定が欠かせない
- 代行を活用しながら最終的には自社での自動出荷体制を構築することが、持続的な成長につながる
EC運営代行とは?
ECサイトやネットショップの運営で生じる業務を、外部の専門会社に委託するサービスがEC運営代行です。
EC運営代行の定義
商品登録・受注処理・カスタマーサポートといった日常業務から、マーケティングや広告運用、物流管理に至るまで、代行できる範囲は幅広くなっています。自社で全業務を担うと、注文数の増加とともに人的負担も比例して増えますが、代行サービスを活用することで、その負担を抑えながら運営品質を維持しやすくなるでしょう。
EC市場拡大が後押しする代行需要
経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模(物販・サービス・デジタルの3分野合計)は26兆1,225億円(前年比5.1%増)に拡大しました。このうち物販系に限ると15兆2,194億円(前年比3.7%増)で、物販EC化率は9.78%に達しています。
市場全体が成長を続けるなか、参入事業者数も増加しているため、競争力を維持するうえで専門的なノウハウを持つ代行会社への需要が高まっています。
「運営代行」と「運用代行」の違い
「EC運営代行」と「EC運用代行」は、ほぼ同義として使われる場合がほとんどです。強いて言えば、「運営代行」は受注処理・在庫管理・カスタマー対応などの実務全体を指し、「運用代行」は広告運用やSNS管理など集客・マーケティング寄りの業務を指すケースもあります。
ただし、業者によって定義や業務範囲が異なるため、契約前に業務内容を具体的に確認することが大切です。
EC運営代行で依頼できる業務内容
代行サービスで委託できる業務は多岐にわたります。
商品管理・サイト運営業務
商品登録・写真撮影・採寸・原稿作成(いわゆる「ささげ業務」)は、代行サービスの中核となる業務の1つです。商品点数が多い事業者にとって、これらの作業は毎日発生する定型業務であり、専任担当者を確保するにも相応の工数が必要になります。
ECサイトのページデザインやメンテナンス、商品情報の更新作業なども、まとめて代行可能な会社が増えています。
受注処理・カスタマーサポート
注文受付・支払い確認・発送手配などの受注処理業務は、ミスが許されない精度を求められる業務です。カスタマーサポート(問い合わせ対応・クレーム対応・返品交換処理)も、顧客満足度に直結するため、対応品質が売上に影響することがあります。
専門会社に委託することで、繁忙期でも安定した対応品質を維持しやすくなります。
マーケティング・広告運用
リスティング広告・ディスプレイ広告の運用や、SEO対策・SNS運用なども代行の対象です。集客施策は継続的なデータ分析と改善が必要なため、専門知識を持つ人材が社内にいない場合、外部委託が現実的な選択肢となります。
コンサルティング業務として戦略設計から担う会社もあり、中長期的な売上改善を目的とした依頼も可能です。
EC運営代行の費用相場
ここではEC運営代行の費用相場を見ていきましょう。
業務別の料金目安
代行サービスの費用は、委託する業務内容によって大きく変動します。下記の表は、業務ごとの一般的な費用相場の目安をまとめたものです。
| 業務内容 | 料金体系 | 費用の目安 |
| コンサルティング・戦略設計 | 月額固定型・複合型 | 月額10万~30万円 |
| ECサイト制作・構築 | 成果報酬型・複合型 | 50万~150万円/案件 |
| マーケティング・集客代行 | 成果報酬型・月額固定型 | 月額5万~20万円+広告費 |
| 商品撮影・登録(ささげ業務) | 月額固定型 | 5,000~10,000円/商品 |
| 物流管理・発送代行 | 月額固定型 | 月額1万~3万円~ |
| カスタマーサポート代行 | 月額固定型 | 月額5万~15万円 |
| ECサイト運営・管理全般 | 月額固定型・複合型 | 月額10万~40万円 |
| フルサポート(総合代行) | 月額固定型 | 月額30万~100万円程度 |
受注処理は1件あたり250円~が目安となっており、出荷量が多い事業者では月額コストが変動しやすい点に注意が必要です。フルサポートプランは月額30万~100万円程度ですが、業務範囲や事業規模によって上下します。
実際の費用は事業規模や依頼範囲によって変動するため、複数社への見積もり取得を前提とした参考値としてご覧ください。
料金体系の種類
月額固定型は費用が一定のため予算管理がしやすく、数万円~30万円程度が相場です。成果報酬型は売上や成果に連動して費用が発生するため初期コストを抑えやすい一方、売上が伸びると支払い額も増えます。
複合型はこの2つを組み合わせた料金体系で、固定費と成果報酬を組み合わせることでリスクを分散可能です。
費用対効果の考え方
代行費用の判断基準は「削減できる人件費+時間コスト」との比較になります。社内スタッフが非効率な実務に追われている状態であれば、代行によるコストが実質的にプラスになるケースもあるでしょう。
導入前に自社の業務工数を洗い出し、委託する業務の優先順位を明確にしておくことが、費用対効果を高める前提条件になります。
EC運営代行のメリット・デメリット
ここでは、導入によって得られる効果と注意点を見ていきましょう。
コスト・リソース面のメリット
すべての業務を自社で賄うには、人材採用・教育・管理のコストが発生します。代行サービスを活用することで、運営に必要なリソースを外部から補完しつつ、社内スタッフを商品開発や顧客向けサービスといった本来の強みとなる業務に集中させられます。
ECの繁忙期(年末・セール時期など)に合わせて業務量を柔軟に調整できる点も、自社運用では対応が難しい課題を解消します。
ノウハウ・専門性面のメリット
EC運営を始めたばかりの事業者にとって、代行会社が蓄積している運営ノウハウや広告運用の知見をゼロから構築するには、相応の時間が必要です。外部専門家に任せることで、最初から一定水準の運営品質を確保できます。
マーケティング領域はアルゴリズムや広告媒体の仕様変更が頻繁なため、専門会社に依頼することで対応漏れを防ぎやすくなるでしょう。
代行利用時に注意すべきデメリット
代行会社にすべての業務を任せると、自社にノウハウが蓄積されにくいという課題があります。担当者が変わったり、契約を終了したりした際に運営品質が落ちるリスクも念頭に置くことが必要です。
また、業務範囲の設計が不十分だと、想定以上のランニングコストが発生する場合もあるため、契約内容の精査は欠かせません。
EC運営代行会社の選び際の3つのポイント
自社に合った代行会社を選ぶための基準を解説していきます。
委託業務の範囲を事前に明確化する
まず「自社で対応できる業務」と「外部に委託すべき業務」を仕分けることが、代行会社選びのスタート地点です。業者によって対応可能な業務範囲に差があるため、自社のニーズと合致しているかを確認せずに選定すると、後から追加費用が発生するケースがあります。
委託業務一覧を整理した上で複数社に見積もりを取ることで、比較検討がしやすくなるでしょう。
専門性・実績・セキュリティ対応を確認する
業務内容に対する専門性と、類似事業での実績は確認必須のポイントです。業務委託にあたっては、顧客情報や自社の販売データを外部と共有することになります。
情報漏洩対策やサイバーセキュリティの取り組みについて具体的な説明を求め、Pマーク(プライバシーマーク)やISO27001などの認証取得状況も参考にするとよいでしょう。
将来の自社運用移行も見据えた選定
代行会社への依存が長期化すると、自社運用への切り替えが難しくなることがあります。理想的な流れは、代行を活用しながら社内の運営体制を少しずつ整え、将来的に業務を内製化できる状態を目指すことです。
そのためには、代行会社からのレポーティングや業務共有の仕組みが整っているかどうかも、選定基準の1つになります。
自社運用への移行を見据えた選択肢「LOGILESS」
代行から自社運用へステップアップする際の選択肢として、LOGILESSがあります。
LOGILESSとはどのようなシステムか
LOGILESS(ロジレス)は、OMS(受注管理システム)とWMS(倉庫管理システム)を一体化したEC自動出荷システムです。EC事業者と倉庫事業者が同一のシステムを使うことで、受注から出荷までの情報連携に必要な手作業がなくなり、ミスの少ないスピーディな出荷体制を実現可能です。
なお、LOGILESSはシステム提供会社であり、実際の出荷業務は「委託先倉庫」または「自社倉庫」で行う形態になっています。
自動出荷率90%以上を実現する仕組み
10分に1回の間隔で出荷可能な注文情報データが自動で倉庫事業者の画面に反映されるため、荷主から倉庫への手動連絡が不要になります。出荷作業・在庫状況はリアルタイムで双方が確認できる状態になるため、報告業務の削減と在庫ズレの防止につながるでしょう。
フリーロケーション管理・ロット管理・出荷期限日管理にも標準対応しており、管理が複雑な商品を扱う事業者にも対応可能です。2025年12月末時点で1,600社が導入し、年間4,000万件以上の出荷をサポートしています。
代行から自社運用へのステップアップ手段として
EC運営代行でEC事業の基盤を整えた後、出荷業務の自動化を目指す段階でLOGILESSの導入を検討することが、自社運用移行への現実的なルートの1つです。代行会社に依存した状態を脱し、物流オペレーションを自社でコントロールできるようになることで、コスト管理や出荷品質の安定化が期待できます。
LOGILESSにはLOGILESS導入済みの倉庫事業者を紹介するサービスもあるため(2025年12月末時点で約200社以上の倉庫事業者様と提携)、まだ自社倉庫を持っていない事業者でも、対応倉庫を活用した自動出荷体制の構築から始めることが可能です。
まとめ
EC運営代行とは、ECサイト運営に必要な業務を外部の専門会社にアウトソーシングするサービスです。業務範囲・料金体系・専門性はサービスによって異なるため、自社の課題を明確にした上で選定することが大切です。代行を上手に活用しながら、最終的には自社での出荷・運営体制を構築することが、EC事業の持続的な成長につながります。自動出荷体制の内製化を目指す際は、OMS・WMS一体型システムのLOGILESSの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
