楽天スーパーロジスティクスで物流効率化|2025年料金改定後の選び方

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ECサイト運営では物流業務の負担が大きく、本来の業務に専念できない事業者が多く見られます。

この記事では楽天スーパーロジスティクスのサービス内容、2025年6月実施の料金改定、導入手順をわかりやすく解説します。

本記事を読むことで最新情報による物流効率化戦略を実践でき、業務負担軽減と売上向上の両立を実現できるでしょう。

この記事でわかること
  • 楽天スーパーロジスティクスは楽天市場出店者向けの包括物流サービスで、約11,000店舗が利用中
  • 2025年6月に料金改定が実施され最新料金体系で運用中、他モール出荷料も新設
  • 全国8拠点での運営とJP楽天ロジスティクスによる約2~3か月の準備期間でのサポート体制
もくじ

楽天スーパーロジスティクスとは

楽天グループと日本郵便の合弁会社であるJP楽天ロジスティクスが運営する、EC事業者向けの物流代行サービスです。

楽天市場出店者の物流業務を包括的にサポートし、商品の入荷から保管、ピッキング、梱包、発送まで全工程を一括代行します。

サービス概要と運営体制

楽天市場との完全連携により受注情報や在庫データがリアルタイムで同期され、正確で迅速な物流処理を実現。 現在約11,000店舗が利用中で、楽天市場の荷量の1割以上を出荷。 楽天市場出店店舗の約5分の1がサービスを活用しています。

フルフィルメントサービスとして、事業者は商品を倉庫に納品するだけで、以降の物流業務をすべて任せることが可能。 楽天市場の受注システムと直接連携しているため、注文から出荷までの処理時間が大幅に短縮されます。

対象事業者と利用条件

RSL利用には楽天市場への出店が前提条件となっており、未出店の事業者は出店手続きが必要です。 既に出店済みの事業者であれば、商品カテゴリーやサイズ制限をクリアした商品について利用申請が可能。

他のECモールや自社サイトを運営している事業者でも、楽天市場出店を条件にRSLサービスを活用でき、複数チャネルの物流を一元化できます。 ただし、危険物や大型商品(3辺合計160cm超、25kg超)、温度管理が必要な商品は取り扱い対象外となるため、事前確認が必須です。

商品によっては事前審査が必要になる場合があり、化粧品や健康食品などは特別な手続きが求められることもあります。

全国拠点の配置状況

RSLは全国8拠点で物流ネットワークを構築し、効率的な配送体制を整備しています。

都道府県拠点名所在地
千葉県RFC流山千葉県流山市南261 GLP流山Ⅱ
千葉県RFC習志野千葉県習志野市東習志野7丁目3-1 Landport東習志野
千葉県RFC松戸千葉県松戸市稔台5丁目1−1
神奈川県RFC中央林間神奈川県大和市中央林間7丁目12-2 ニッセイロジスティクスセンター横浜町田
大阪府RFC枚方大阪府枚方市長尾谷町1-2-1 GLP枚方Ⅲ
大阪府RFC八尾大阪府八尾市郡川1丁目557 GLP八尾
大阪府RFC茨木大阪府茨木市丑寅1丁目1-1 DPL茨木
福岡県RFC福岡福岡県糟屋郡粕屋町大字上大隈字部木原758

これらの拠点配置により、関東3拠点、関西3拠点、九州1拠点での全国への迅速配送と地域別の「最強翌日配送」サービスを実現。 主要都市圏からの配送により、注文から到着までの時間短縮を図っています。

2025年最新料金体系

2025年6月から実施された料金改定により、物流コストの上昇に対応した新料金体系で運用されています。 

料金改定の背景

物価高や物流の2024年問題の影響を受け、RSLの料金体系が大幅に改定されました。 配送コスト抑制に注力していましたが、人手不足や宅配キャリアの配送料値上がりにより料金体系の維持が困難となったことが背景です。

改定では基本料金の値上げに加え、従来は同一料金だった他モール出荷に対する追加料金も新設。 一方で、40サイズの新設や厚さ5cmまでのメール便拡大など、サービス向上施策も併せて実施されています。

特に100サイズの料金は1.5倍以上の値上げとなり、EC業界に大きな影響を与えている状況です。

最新の基本料金設定

2025年6月改定後の料金体系は以下のとおりです。

サイズ区分料金(税込)対象商品の目安
メール便199円厚さ5cm以下の小物
40サイズ新設予定化粧品など小型商品
60サイズ422円3辺合計60cm未満
80サイズ503円3辺合計80cm未満
100サイズ599円3辺合計100cm未満
120サイズ723円3辺合計120cm未満
140サイズ880円3辺合計140cm未満
160サイズ1,047円3辺合計160cm未満

メール便については厚さ制限が3cmから5cmに拡大され、より多くの商品で利用可能になりました。 40サイズの新設により、小型商品の配送コスト削減も期待されています。

出荷作業料と追加料金

出荷作業料(1個あたり)も以下のように改定されています。

サイズ区分出荷作業料
極小サイズ52円
小サイズ84円
中サイズ105円
大サイズ210円

他モール出荷料として、楽天市場以外の注文には以下の追加料金が発生します。

サイズ区分他モール出荷料
ポスト投函(3cm以下)14円
ポスト投函(5cm以下)24円
宅配便40~60サイズ24円
80サイズ28円
100サイズ32円
120サイズ40円
140サイズ50円
160サイズ62円

資材を使用しない場合でも送り状代として7円/個が別途請求されるようになりました。 複数チャネル展開を行う事業者にとっては、コスト計算が複雑化する要因となっています。

導入から運用開始までの流れ

楽天スーパーロジスティクスの導入は段階的なプロセスを経て進められ、約2~3か月の準備期間が必要です。

申し込み手順と必要期間

RSL導入は楽天市場の「店舗運営Navi」からの問い合わせで開始し、担当ECコンサルタントとの面談を経て具体的な手続きに進みます。 初回面談では取り扱い商品の詳細、予想出荷量、特別な要望などをヒアリングし、個別の見積もりを作成。

契約締結後は倉庫システムとの連携設定、商品マスタの登録、初回納品の準備など、約2~3か月の準備期間を要します。 料金改定の影響もあり、導入検討は繁忙期を避けた余裕のあるスケジュール設定が大切です。

受注管理システムの準備

RSLでは倉庫との連携に専用の受注管理システムが必須となり、BOSS、ネクストエンジン、クロスモールなどから選択します。 楽天市場専用での利用であれば無料のBOSSシステムが推奨され、導入コストを抑えて運用開始可能。

Amazon、Yahoo!ショッピング、自社サイトなど複数チャネルを運営する場合は、各モール対応可能な有料システムの検討が必要です。 なお、AmazonのFBAマルチチャネルサービスは連携不可となっており、システム選択時の注意点となっています。

システム設定では商品情報の連携、在庫管理設定、出荷条件の設定などを行います。

受注管理システムとしてLOGILESSを利用する場合は、まずBOSSをしていただき、BOSSとLOGILESSを連携する必要があります。

納品時の注意事項

RSLへの商品納品では配送ラベルは不要ですが、商品ラベルの貼付が必要です。 要期限管理商品については別途オプション契約が必要で、通常商品との同梱納品は可能。

危険物(化粧品の一部、スプレー缶など)や3辺合計160cm超の大型商品は取り扱い対象外となります。 納品遅延や数量相違が発生した場合は罰則料金が適用されるため、正確な納品管理と事前連絡の徹底が重要です。

初回納品時は商品の登録確認や保管場所の割り当てなど、通常より時間がかかる場合があります。

物流業務の流れ

楽天スーパーロジスティクスでは、商品の入荷から顧客への配送完了まで一貫した物流サービスを行っています。 

入荷から検品までの処理

商品が楽天倉庫に到着すると、専門スタッフによる入荷検品作業が開始され、数量確認と品質チェックを実施。 検品完了後は在庫システムへの計上処理を行い、楽天市場の商品ページと在庫数がリアルタイムで連動します。

海外からのコンテナ入荷にも対応しており、大量納品時の受け入れ体制も整備されています。 不良品や破損品が発見された場合は、詳細レポートと写真付きで事業者に報告され、適切な処理方針を協議する流れです。

検品作業では商品の外観チェックだけでなく、数量の正確性も厳格に管理されています。

保管と在庫管理システム

倉庫内の保管環境は最高35℃から最低0℃の常温管理となっており、冷蔵・冷凍商品は取り扱い不可です。 RSLカルテシステムにより、物流コスト推移、入出荷数、保管数、売れ筋商品の欠品状況など確認できます。

在庫情報は楽天市場と完全同期されており、売り切れや入荷予定の自動更新により機会損失を防止。 保管料は以下の式で計算され、長期保管商品についてはアラート機能があります。

7.5円/月/PCS × 商品体積(cm³)÷ 1,000 × 保管日数÷当月日数

出荷から配送完了まで

注文受付後は自動的にピッキング指示が発行され、365日体制での出荷処理を実施。 梱包作業では商品に応じた適切な資材選択と、破損防止のための丁寧な梱包を行います。

配送は主に日本郵便を利用し、ポスト投函、コンビニ受け取り、宅配ボックスなど多様な受け取り方法に対応。 「最強翌日配送」対象商品では条件を満たす注文で翌日配送を実現し、顧客満足度の向上に寄与しています。

他社フルフィルメントサービスとの比較

楽天スーパーロジスティクスと競合サービスの料金や機能を比較し、それぞれの特徴と選択基準について解説します。

Amazon FBAとの料金比較

RSLとAmazon FBAの基本料金を比較すると以下のとおりです。

サービス100サイズ料金他チャネル料金複数注文同梱
RSL(2025年改定後)599円+32円可能
FBA(Amazon)603円789円不可

RSLは2025年改定で他販路注文に追加料金が発生するようになりましたが、FBAより依然として低料金です。 FBAでは他チャネル利用時に約31%の料金上乗せがあり、複数注文の同梱も不可となっています。

小規模事業者にとっては、RSLの料金体系の方が負担が少ない傾向にあります。

機能面での相違点

配送スピードではRSLが「最強翌日配送」により明確な翌日配送基準を設定しているのに対し、FBAは明確な出荷基準がありません。 在庫管理面では、FBAが倉庫納品完了前の販売を禁止しているのに対し、RSLは納品前でも楽天市場での販売が可能。

顧客対応については、FBAがAmazon側で返品・クレーム対応を行うのに対し、RSLでは事業者が直接対応する必要があります。 これは小売業とモール業というビジネスモデルの違いが反映された仕組みです。

システム連携の柔軟性では、RSLの方が複数チャネル対応において優位性があります。

サービス特徴の違い

在庫移動の柔軟性では、RSLからAmazonへの直接移送が可能ですが、FBAからの移送はできません。 取り扱い商品サイズは、FBAが200サイズ以上の大型商品も対応するのに対し、RSLは160サイズまでの制限があります。

危険物については、FBAが一定条件下で取り扱い可能ですが、RSLは完全に対象外。 受注システムの面では、FBAがAmazonセラーアカウントで完結するのに対し、RSLは専用の受注管理ソフトが必須となります。

それぞれのサービスには特徴があるため、事業者の運営方針に合わせた選択が重要です。

利用企業の評判と導入効果

実際に楽天スーパーロジスティクスを導入している企業の評価と、導入による効果について紹介します。

実際の利用者評価

実際の導入企業からは「365日休みなく自動発送される点が非常に助かる」との評価が多く聞かれます。 「最強翌日配送により競合との差別化ができ、顧客満足度が向上した」という売上面での効果を実感する声も。

約11,000店舗という利用規模により、2023年~2024年の平均成長率は未利用事業者と比較して9.2ポイント上昇という実績があります。 専任担当者制度については「EC業界に精通したアドバイスを受けられ、物流改善だけでなく売上向上のサポートも得られる」との評価もあるようです。

特に中小規模の事業者からは、物流業務の負担軽減効果を高く評価する声が多く聞かれます。

引用元:https://syukatsu-kaigi.jp/companies/170762/word_mouths

導入による業務改善効果

RSL導入により物流業務から完全に解放され、商品企画やマーケティング活動により多くの時間を割ける効果が報告されています。 「楽天スーパーSALE」などの大型セール期間中の出荷量急増にも安定対応でき、従来の人手不足による損失を防止可能です。

RSLカルテによるデータ分析で、売れ筋商品の欠品防止や長期保管商品の早期発見が可能となり、在庫効率が改善されています。 楽天の大量処理によるスケールメリットで、個別に物流業者と契約するより効率的な運営を実現している事例もあります。

2025年料金改定の影響

一方で料金改定により「100サイズの1.5倍以上の値上げは経営への影響が大きい」との懸念の声もあり、「他モール出荷料の新設によりマルチチャネル戦略のコスト計算が複雑になった」との運用面での課題も指摘があるようです。

ただし、40サイズの新設や厚さ5cmまでのメール便拡大により、小型商品の取り扱いはより柔軟になりました。 温度管理が必要な商品や大型商品は依然として取り扱い対象外のため、商材によっては利用できない制約があります。

まとめ

楽天スーパーロジスティクスは楽天グループと日本郵便の合弁会社JP楽天ロジスティクスが運営する包括的物流サービスとして、約11,000店舗に利用されています。

2025年6月の料金改定により基本料金の値上げと他モール出荷料の新設が行われましたが、全国8拠点による効率的な配送網と「最強翌日配送」により競争力を維持。

導入には約2~3か月の準備期間と専用受注システムが必要ですが、専任担当者のサポートと実績あるノウハウにより安心して導入できる体制が整備されています。

この記事を書いた人

ロジレス編集部

ロジレス編集部は、EC事業者・倉庫事業者さまに向けて業務改善や売上拡大のヒントをお届け。 システムの効果的な活用方法から業界ニュースまで、現場目線で情報を発信しています。

※掲載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性や最新性を保証するものではありません。内容が誤っている可能性もありますので、あらかじめご了承ください。

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