TikTokは、すでに知らない人はいないほど、国内外でそのリアルタイム配信やショート動画などが人気となっています。
TikTokのネット販売サイトとして、登場しているのがTikTok Shop(ティックトックショップ)です。米国では、すでにZ世代といわれる若年層のみならず、年齢の高いベビーブーマー世代にとっても、TikTokが商品発見の主要なプラットフォームとなっています。
本記事では、TikTok Shopの特徴からはじまり、その販売モデル、機能やメリットまで解説します。
Tiktok Shopとは
TikTok Shop(ティックトックショップ)は、爆発的な人気のあるTikTok内で、直接的に商品を販売できる新しいECプラットフォームです。
TikTok Shopは、米国など海外で先行して展開されており、すでに多くの販売事業者が使用しています。
従来のネット販売サイトへ誘導する方法とは異なり、TikTokが保有するコンテンツとコマースの融合を目標としています。このため、TikTok動画視聴の延長線上で買い物ができることが、TikTok Shopの特徴となっています。海外ではすでに米国、イギリスや、インドネシアを含む東南アジアなど12か国以上で展開されており、ライブコマースを中心に大きな成果を上げています。
日本でも、TikTok自体が巨大なユーザー基盤を有することから、TikTok Shopは新規顧客開拓や売上拡大の切り札ともされています。2025年6月に日本でもサービスが開始され、多くの企業や個人事業主からも注目されています。TikTokがとくに強い配信事業や、動画とECを融合したあたらしい事業形態が人気の要因です。
Tiktok の世界展開の特徴
TikTokは、2022年10月時点で推定10億人を抱える、世界最大規模のユーザー基盤を持つソーシャルメディアプラットフォームとなっています。
TikTokの特徴としては、売り手またはインフルエンサーに、オンラインショッピングに必要な情報を提供できることです。これらの機能は、ユーザーが製品に関連する有用なコンテンツを共有し、いいね、コメント、ビューなどでの相互作用が生じるのを助けます。これらの相互作用により、消費者の購入行動に大きな影響を与える可能性があります。
TikTokは、とくに米国やインドネシアなどで、ソーシャルメディアとしての地位を固めています。インドネシアでも、すでに1億人以上と、かなり多くのユーザーを抱えており、米国に次いで世界最大規模のTikTokユーザーベースとなるとされています。また世界的に見るとTikTokユーザーは、とくに若年層であるZ世代に圧倒的な支持があり、今後の展開やその成長が期待されています。
Tiktokの戦略モデル
TikTok とは、中国初のバイダンス社が事業運営を行っているコンテンツプラットフォームです。2016 年以降にショート動画アプリとして知られるようになり、中国国内ではわずか半年でユーザー数が 1 億人以上を突破し、1 日あたり再生数が 10 億回にも達しています。
TikTok の強みとなっているビジネス戦略は、3つの成長段階を経て実行されています。
始めの段階において、インターラクションの内容は、動画の視聴、「いいね」、コメントなどに限定されていました。第二段階では、フォロー、ライブ、ファンクラブなどの機能が追加されています。そして、現在の第三段階においては 「TikTok Shop」、POI(point of interest)、ミニプログラムが導入されています。
このように、より効率的にビジネスに接続できるようなインターラクション方法が、継続的に追加されているといえます。TikTok のビジネス戦略の強みは、以下の4つの点にあります。
帰属意識が強い
Tik-Tok では、コンテンツプラットフォームとして、本来の強みである強い社交的な属性を有しています。ファンのコミュニティー化を誘導することによって、ファンのロイヤリティーを高める効果があります。
高い品質のコンテンツがある
TikTok ではクリエイターによって、いつも面白いパフォーマンスや、創造力のある豊富なライブが提供されています。このようなライブ動画によって、娯楽性のある購入行動が生じる可能性が大きくなります。
極めて簡単に操作できる
TikTok ではアプリの操作しやすさを徹底し、ライブ動画に関する機能は、ほとんどワンクリックでできるようになっています。
多種多様なインターアクション方式が可能
インターアクションについて、Tik-Tok LIVE はコメント機能以外にも、福袋・籤引・ライブPK・投票リストなどの機能を開発しています。インフルエンサーとプラットフォーマーでは、消費者のリアクションをリアルタイムで共有することができ、より適切な対応を行えます。
TikTok のビジネス戦略として、現在「TikTok Shop」などとの、より効率的なビジネス展開ができるような段階に入っているといえます。
Tiktok Shopのショップ特性
TikTok Shopでは、以上のように、TikTok本体のビジネス戦略の影響を強く受けています。
このようなTikTok Shopのショップ特性についても考えてみます。
新規顧客を獲得しやすい
TikTok Shopのショップ特性として、まず新規顧客が獲得しやすいことがあげられます。
TikTokでは、日本国内の月間アクティブユーザー数は3,300万人以上と、すでに膨大な数のユーザーを有しています。
このように多くのユーザーを抱えるプラットフォームを利用できるので、ECでの新規顧客獲得が頭打ちになっている場合は、とくに魅力的なECといえます。またこれまで自社サイトなどで、新規顧客獲得に効果を上げられなかった事業者にとっても、重要なプラットフォームになる可能性があります。
また国内ではTikTokはまだ後発なので、同じサイト内では国内競合事業者は、相対的に少ないことが予想されます。これは新規顧客を獲得したい事業者にとっては、今後の拡大余地が大きい市場ともいえます。
TikTok Shopでは、ユーザーがTikTok動画をみている中で、たまたま出会った商品に興味を持ち、そのまま購入まで進めるような発見型の購入も期待できます。ユーザー自体も気づいていなかった潜在ニーズを引き出しやすく、リーチできなかったようないわゆる潜在的な顧客層にもアプローチできる可能性があります。
インフルエンサーにより拡散されやすい
TikTok Shopのショップ特性として、TikTok インフルエンサーを活用できることもあげられます。
TikTok Shopでは、いわゆるインフルエンサーマーケティングとの相性が良いことが大きなメリットです。アフィリエイトプログラムを使用すれば、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーによる商品プロモーションなども簡単に行えます。なおTikTok のアフィリエイト報酬制度では、成功報酬型のため販売が振るわなかったとしても、余分なコストがかかる心配もありません。
TikTok では、クリエイターがアフィリエイトプログラムに登録されるためには、フォロワー数が1,000人以上必要となっています。このため影響力のあるクリエイターにだけアフィリエイト対策を委託できるので、自社商品情報の拡散やその販売数の向上が大いに期待されます。
Tiktok Shopでの主な機能
次に、Tiktok Shopの主な機能についても紹介します。
買い物カート付き動画
Tiktok Shopの主な機能として、まず買い物カート付き動画が活用されています。
この機能では、ショート動画に直接的に商品タグを付けられます。ユーザーが動画を視聴しているときに、商品の詳細や購入画面にすすみたいことはよくあります。ショート動画からは離脱せずに購入画面まで進めるため、潜在的な顧客層への売り上げアップも期待できます。
ライブコマース
Tiktok Shopでの主な機能として、ライブコマースも重要な視点です。
すなわち、TikTokのライブ配信を通じて商品は、直接販売することができます。ライブ配信している画面に商品タグが表示できるため、ライブ配信中に商品をカートに追加できたり、そのまま購入することも可能です。またライブ配信終了後に、アプリ内からそのまま購入に進むこともできます。
このような機能は、とくに複数の商品をライブ配信で紹介するときに効果があります。また消費者からの疑問にリアルタイムで答えながら実施できるので、商品紹介や販売の幅が広がります。
ショップタブ
Tiktok Shopでの大切な機能として、ショップタブもあります。
ショップタブは、TikTokで商品の検索や購入ができる、いわゆるユーザーの購入場所(マーケットプレイスという)としても機能します。TikTok Shopを活用することで、マーケットプレイスに商品を掲載できることになります。
消費者は、このショップタブから商品を検索したり、おすすめ商品から商品を見つけたりできるため、販売チャンスが各段に広がります。
アフィリエイトプログラム
Tiktok Shopでの重要な機能として、アフィリエイトプログラムがあります。
これらのプログラムを活用すると、登録しているTikTokクリエイターとコラボレーションできるようになります。さらには提携したクリエイターの動画やライブ配信で、自社商品のプロモーションをしてもらうこともできます。
このようにクリエイターが持つ幅広いフォロワーにアプローチできるため、潜在的な顧客層へのアプローチにつながります。
ショップ広告
Tiktok Shopでの重要な機能として、最後にショップ広告があげられます。
従来の自然な形で投稿を行うオーガニックな投稿では、展開できなかったようなTikTokユーザー層にも、商品を認知してもらうことが可能です。
Tiktok ShopとSNS連携の課題
Tiktok Shopでは、事前にSNSとの連携課題についてもよく検討しておく必要があります。
SNS投稿が関連することを理解しておく
Tiktok Shopでは、商品販売にSNS投稿が関連することが一般的です。
TikTokの動画を見たあとに、商品を検索したことがある人は、かなりの数にのぼっています。また興味を持った商品をTikTok上で検索し、情報収集するといった行動もよく見られています。
TikTok Shopを開設して、TikTokアプリ内で購入までできるようにすることで、SNS投稿と商品販売をシームレスに結び付けられるようになります。
美容系や若年層向け商品と相性がよい
Tiktok Shopでは、美容系や若年層向け商品と相性がよいことも特徴です。
すでにかなりの人が、TikTokの動画を見たあとに美容商品を購買したことがあるとしています。こうしたことからもわかるように、TikTok Shopは特に美容系の商品との相性が良いといわれています。また、TikTokのメインユーザー層である若年層をターゲットにした商品や、自社で販売機能を持つ消費者向けの事業との相性もぴったりです。
偶発的なバズり効果も期待もできる
Tiktok Shopでは、SNSによる偶発的なバズりの可能性も高くなります。
TikTokは、他のSNSに比べても、それ自体のアルゴリズムにより、ユーザーはフォローしているアカウント以外の動画を閲覧する機会が増えます。そのため、フォロワーが少なくてもコンテンツがバズって伸びることもありえます。同様に商品を紹介する動画のバズりなどによって、突然売上が大きく伸びるといったことも期待できます。
Tiktok Shopでの購買方法
実際のTiktok Shopでの購買方法についても、以下にまとめました。
動画視聴から購入できる
Tiktok Shopでの購買方法としては、まず動画視聴時に商品を購入できます。
フォロー中などの動画であれば、動画内の商品タグをタップすると、すぐに商品詳細ページにうつることができ、アプリ内で購入や決済まで完了することができます。
またおすすめフィードに動画が掲載される可能性もあり、フォロワーに限らず多くの消費者の目に触れることになります。消費者が商品に興味を持てば、そのままいくつかの手順だけで、すぐに購入まで進むことが可能です。
ライブ配信から購入できる
Tiktok Shopでの購買方法には、ライブ配信からの購入もあげられます。
ライブ配信を活用すれば、ユーザーとリアルタイムでコミュニケーションを取りながら、商品を紹介することができます。消費者では、動画内にピン留めされた商品をタップするか、ショッピングカートのアイコンをタップすることで、配信中に買い物が可能となります。
ショップタブから購入できる
Tiktok Shopでの購買方法として、ショップタブからも購入できます。
ショップタブとは、TikTok Shop内で展開されている商品を検索するタブのことです。消費者側では、気になる商品を発見して購入することができますが、ショップタブではとくに、個別の消費者の関心に合わせて、商品が推奨される機能を有しています。
Tiktok Shopでのメリット
最後に、Tiktok Shopのメリットについてまとめておきます。
新しい購買体験ができる
Tiktok Shopのメリットとして一番大きいのは、新しい購買体験ができることです。
動画で商品に関心を持ったらすぐに、画面をタップするだけで、商品の情報確認や購入手続きも完了するという手軽さがあります。
新しい商品を発見できる
Tiktok Shopでは、新しい商品を発見できることもメリットです。
検索してあらためて商品を探すのではなく、自分が関心のある動画コンテンツの視聴などを通じて、新しい商品に出会うことができます。
購入プロセスが簡単
Tiktok Shopでは、購入プロセスが比較的に簡単なことも大きなメリットです。
外部サイトへの移行がないため、購入に至るまでのプロセスが簡単で、消費者にとってはストレスなく買い物を楽しめるという効果があります。
まとめ
TikTok Shopの内容からはじまり、そのショップ特性、機能や今後の課題まで解説しました。
TikTokでは、国内外でそのリアルタイム配信やショート動画などが人気となっています。
これに伴いTikTok Shopでは、配信と連携したあたらしいマーケティング施策も実行されています。