企業情報
企業名 | 株式会社へラルボニー |
事業内容 | アートデータを軸にした、企業間コラボレーションおよびブランド運営 |
ECサイト | https://store.heralbony.jp/ |
お取扱商材 | ファッションアイテムなど |
商品点数 | 約400点 |
販売モデル | BtoC |
EC開始時期 | 2020年3~4月 |
LOGILESS導入時期 | 2023/7/3〜 |
EC物流における課題 (LOGILESS導入前) | ・在庫をリアルタイムに確認できない ・倉庫でギフトラッピングに対応できない ・梱包資材に制限がありネコポスを利用できない ・ノベルティや同梱物の細かな設定が難しい |
LOGILESS導入後の成果 | ・在庫をリアルタイムに一元管理できるようになった ・倉庫でギフトラッピングに対応できるようになった ・梱包資材の選択肢が広がりネコポスを利用できるようになった ・ノベルティや同梱物の細かな設定ができるようになった ・配送が早くなり土日も受注・出荷を進められるようになった ・予約注文を受けられるようになった |
取材者プロフィール

株式会社ヘラルボニー
Retail Department Marketing and Online Sales Team
北村 茉里映さま

株式会社ヘラルボニー
Retail Department Marketing and Online Sales Team
山崎 由佳さま
※所属は取材当時のものです。
ブランドに込められた想い

「異彩」を世に放つことで社会を変えていく
北村:私たちHERALBONYは、「異彩を、放て。」をミッションに、障害のイメージ変容と福祉を起点にした新たな文化の創出を目指すクリエイティブカンパニーです。国内外の主に知的障害のある作家の描く2,000点以上のアートデータのライセンスを管理し、さまざまなビジネスへ展開しています。世の中では障害は欠落と捉えられがちですが、私たちは「普通じゃない」ことは可能性だと捉え、それを「異彩」と定義し、さまざまな形で社会に送り届けています。
私たちの事業には大きく2つの軸があります。ひとつは、企業様とのコラボレーションなどによるアートライセンスビジネスを行うライセンス事業。たとえば、JR様の駅の装飾やJAL様の機内アメニティなどに取り組んできました。
もうひとつは、私と山崎が所属する、ブランドを運営するリテール事業です。作家のアートをファッションアイテムなどのプロダクトに落とし込み、オンラインストアやポップアップストアで販売しています。
私たちの事業を通じて異彩が世に放たれることで、障害は欠落であるといった固定概念を変えていき、最終的には障害の有無に関わらず「普通じゃない」ことに対するバイアスがなくなり、全ての人がありのままに生きられる社会を目指しています。
NPO法人ではなく株式会社であることに注目していただくことも多いのですが、それは支援・貢献の文脈ではなく、資本主義社会のなかで障害のある作家をビジネスパートナーと捉え、当たり前にビジネスとして成立させていくことが、本質的に社会を変えていくことにつながると考えているためです。
アートがプロダクトになるまでのこだわり
北村:商品を企画する際に、お客様に喜んでいただける商品を生み出す視点はもちろん大切にしていますが、アート本来の魅力が損なわれるような商品になってしまっては本末転倒です。私たちHERALBONYはアートを通して「異彩を世に放つ」ことが使命なのでアートの魅力が最大限に表現できるプロダクト、逆にいうとプロダクトにしたときにその魅力を十分に反映できるアートを選定しています。
商品企画のこだわりとして、アートをどのような形でプロダクトにしようとしているのか、製造に入る前に必ず、作家本人に説明してアプルーバルを取っています。明確な意思表示が難しい特性の方にも、福祉施設の方やご家族にお力添えいただき、アプルーバルを取ります。創業時から大切にしている「作家ファースト」という理念に基づき、必ず行っているHERLABONYならではの工程です。
また、2024年6月からは、「責任あるものづくり宣言」を掲げ、プロダクトの製造を行っています。
ものづくりの過程で、メーカーや自然環境に負担を押し付けることや、知らぬ間に誰かの足を踏むようなことはしたくない。そんな想いで、ものづくりの側面でも出来る限りのレスポンシビリティを果たすよう心がけています。可能な限り製造ラインが見えるように、国内の工場や職人の手によるものづくりにこだわっています。

ブランドのこだわりをECサイトで表現する
北村:現在、メインの販売チャネルはECサイト(公式オンラインストア)で、年に数回百貨店などでポップアップストアも出店しています。また、HERALBONY創業の地である岩手県には常設店があり、現在改装中なのですが、この春頃にリニューアルオープンする予定です。
ECサイトがあることで、遠方も含めさまざまな場所に商品を届けられるようになりました。ポップアップストアはどうしても主要都市が中心なので、地方にいる方にはなかなか届けられません。障害のある方がファンになってくださることも多いのですが、身体的または精神的に外出が難しい方にも、ECサイトであれば気軽にお買い物を楽しんでいただけます。
山崎:アートデータを基にした商品だけでなく原画作品も販売しているのですが、ECサイトには多数の原画作品を掲載できるため、そこからご購入いただくお客様も多くいらっしゃいます。
北村:ECサイトは、ものを売るだけでなく、ブランドを表現する情報のプラットフォームとしても捉えています。私たちのECサイトでは、JOURNALという記事コンテンツで、作家の人となりや作品の制作工程を紹介する記事や、HERALBONYを応援してくださる著名な方や福祉施設の方のインタビュー記事などを掲載してます。
また、私たちにとっては当たり前でも一般的には特殊だと思われるのが、商品ページには、商品スペックや商品そのものの紹介だけでなく、起用されているアートと作家の紹介を掲載し、商品名にも必ず作家名やアート名を明記していることです。私たちとしてはまだこれだけでは情報量が足りないと思っており、これからさらに、作家やアートの魅力が伝わるコンテンツを増やしていきたいと思っています。
ブランドとお客様の関係性
北村:弊社のお客様には主に3つの軸があります。
まず、社会にとって良いことにつながる購買行動をしたいという方。次に、アートやデザインが好きで購入される方。そのような方が後からブランドのストーリーを知って、よりファンになってくださることも増えています。作家のエピソードにエンパワーメントされると言ってくださる方も多くいらっしゃいます。
最後に、障害のある当事者の方や福祉施設の方。HERALBONYが活躍することが自分たちの希望につながるというお声をよくいただき、それが私たちの活力にもなっています。
LOGILESSを導入するまで
リアルタイムな在庫がわからず、資材や同梱物などに制限も多かった
北村:LOGILESS導入前は別のシステムを使っていたのですが、課題が多かったです。
まず、在庫のリアルタイムな確認と一元管理ができませんでした。そのため、ポップアップストアを開催したときなどに、在庫数がずれることがありました。受発注や発送を人力で処理しなければならないことも多く、お届けまで時間を要する傾向にありました。
また、ポスト便を利用できないなど、資材周りに制限があることも課題でした。梱包資材も選択肢がなく普通の段ボール箱になってしまうので、ブランドらしいデザインにこだわった梱包でお届けしたいと思っても、それが実現できないという課題がありました。
山崎:お客様からは、応援してくださっているからこそ、サイトUIのわかりにくい部分のご指摘やご要望をいただくことがあるのですが、環境に配慮した簡易包装の選択肢がほしいといったお声を頂くことがありましたね。
北村:さらに、以前のシステムでは倉庫も一体型だったのですが、倉庫でのギフトラッピング対応ができず、岩手の店舗や我々で対応していました。ノベルティや同梱物の設定にも制限があり、ブランドのストーリーや作家の魅力を知ってもらうためにやりたいことができない状況でしたね。

ブランドのためにやりたいことができるのがLOGILESSだった
北村:LOGILESS導入に携わったのは別の担当者なのですが、2022年頃から検討を始めていました。いくつかのシステムを比較検討したなかで、LOGILESSであればやりたいことが全部できて、いろいろなニーズを一番叶えられるシステムだったのだと思います。
導入に際しては、物理的な在庫の移動が一番大変でした。在庫の移動はしながらもECサイトの販売は止めたくなかったので、移管中もお客様に問題なく商品をお届けできるよう、綿密な計画を立て段階的に在庫の移動を行っていました。
ECサイトの連携周りの乗り換えは、できることがたくさんある分、最初は設定や操作に迷うこともありましたが、慣れてしまえばわかりやすかったです。それでもわからないことは問い合わせチャットで対応していただきました。
山崎:FAQにもすごく丁寧に手順とともに案内があるので、参考にしています。私も問い合わせチャットをよく使っているのですが、すごく早く回答していただける印象があり、いつも本当に助かっています。
LOGILESSを導入してから
在庫管理や資材、同梱物の選択など導入前の課題をすべて解決
北村:LOGILESSを導入してから現在までに、導入前の課題は全体的に解決できたと思います。以前の状況と比べてかなり良くなっている所感があります。
最初の印象として、マクロ設定で同梱物の細かい設定が全部できることに感動しました。マクロ設定で自動的に出荷指示を入れられるので、梱包時に注意してほしいことなど、倉庫の担当者との連携もスムーズかつミスも少なくなり、助かっています。倉庫でラッピング対応もしてもらえるようになるなど、できることも増え、こちらの負担や心労も減ってありがたいです。
また、リアルタイムで在庫の一元管理ができるようになったことから、在庫を常に観測して商品の販売動向の調査や分析もリアルタイムでできるようになり、オンラインストアの在庫が足りないから他ロケーションの在庫を移管して売り逃さないようにしよう、といったアクションもタイムリーに取れるようになりました。
同梱物も細かく設定できるようになったので、今後、ブランドのストーリーや作家のことがより伝わるよう工夫していきたいところです。最近実施していたのが、一定金額以上ご購入いただいた方に、作家の手書きメッセージ入りのポストカードが届くという施策です。このようなことができるようになったのは、ブランドにとって大きいですね。
山崎:資材の点ではネコポスを利用できるようになり、環境への配慮という観点でも良いことだと思います。今後は資材も増やしていく計画で、HERALBONYオリジナルの梱包材の準備も進めています。

配送スピードが早くなるなどユーザビリティの向上も実現
北村:以前のシステムでは受注データをチェックする担当者が休みの土日は配送が進みませんでした。今は基本的にLOGILESSで受注データが自動的に取り込まれ、イレギュラーなものだけ担当者がチェックして調整すれば良いので、お客様のご注文から商品配送までのスピードが早くなりました。出荷数が増えるタイミングとしてメディア露出があるのですが、大きなメディア露出がある際も、LOGILESS導入後は円滑に対応ができています。
梱包資材の選択肢が増えたり、配送が早くなったりしたことで、全体的にユーザビリティが良くなっていると思います。「すぐに商品が届いてありがたい」というお声をお客様から頂くことも増えましたね。また、ノベルティを喜んでいただいているお声も届きます。
山崎:配送遅延や在庫切れは、お客様にすごく迷惑をかけてしまうセンシティブな部分で、時間をかけた慎重な対応が必要だったところを、LOGILESS導入によりその対応の負担が減りました。その分、お問い合わせ対応や商品の製造など、別の部分に時間を使えるようになり、ブランド全体にとっても良いことだと感じています。
また、現在、輸送中在庫という新しい機能を試験的に使っています。この機能では、実際の在庫が倉庫にも入庫される前から、お客様には予約商品として先々のお届けになるという案内で販売ができます。商品の製造に時間がかかることも多い一方で、お客様にいち早く情報をお届けしたいという状況に対応できる、ありがたい機能です。
現場に来るような感動体験をECサイトでも生み出したい
北村:HERALBONYならではの強みは、お客様にお伝えしたいたくさんのストーリーがあることです。今後の展開として、同梱物の強化はブランドにとって大きな力になる部分だと思います。たとえば、購入回数に応じて異なるメッセージをお客様にお届けできるようにしたい、など、様々なアイデアが広がります。ノベルティも引き続きお客様に楽しんでいただけるよう、いろいろな展開を考えています。資材についても、商品が届いたときに感動を生み出せるようなものにしていきたいです。
作家のアートは、実際に原画や制作風景を見ることでの感動や、現場でのパワーがすごく大きいものです。オフラインでの体験も大事に、より強化していく一方で、すべてのお客様がいつでも現場に来れるわけではないので、それに近い感動体験をECサイト上でもできる限り生み出していきたいと考えています。ECサイトでは、実物が届いたときが大きな感動を体感できるタイミングだと思うので、今後、そこをより強化していきたいです。